黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の自民批判。他。

産経抄】11月16日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111116/chn11111602560000-n1.htm

 台湾で浪花節、という話。《台湾には今でも浪花節ファンが少なくない。むろん日本統治時代に日本語の教育を受けた世代が中心である》とか言っています。かの国に元気なお年寄りが多いのはめでたいことですが、日本語教育を受けて記憶している世代は少なくとも72歳以上、ほとんどが七十代後半以上だということを、わかっているのでしょうか。時間の流れは冷酷なもので、いつまでも「台湾=日本語教育親日」ではありません。親の年金をいつまでもアテにしている自宅義勇兵みたいな認識からは、そろそろ卒業してはどうでしょう。
 この話題で最大の笑いどころは、《企画した元衆院議員、西村真悟さんら》でしょうか。なにしてますねん。

【主張】TPPと自民党 「反対」で政権を担えるか+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111116/stt11111603010000-n1.htm

 産経新聞がついに自民党を正面切って批判した、と話題の「主張」です。しかし読んでみると、叱咤激励というかツンデレというか、民主党が同じ立場だった時代に投げかけていた批判のための批判とは大違いのようです。産経にとっては、米国の要望によるTPP参加の方が、自民党のスタンスより重要だ、ということを示しているだけでしょう。
 あいかわらず、経済協定と軍事同盟の混同も目立ちます。TPP不参加で米国とやや距離を置き、その分だけ中国を重視するのが日米中正三角形論だと思っているようですが、経済と政治・軍事を切り離して考えられない短絡思考と言うべきでしょう。この言い方は昨日付「正論 【正論】杏林大学名誉教授・田久保忠衛 野田氏は米陣営滑り込みセーフ」*1に影響されたものかもしれません。
 《自由貿易拡大や日米同盟の堅持・深化を追求してきた自民党はどこへいったのか》。産経としてはこう嘆きたくもなるのでしょうが、そんな「自民党」なんて、最初からありませんでした。ただその時々で対応を変える永久与党があっただけです。

【正論】拉致問題解決へ、今がその時 参議院議員、元拉致問題担当相・中山恭子+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111116/kor11111602590001-n1.htm

 「正論」欄に国会議員が登場するのは、ここ数年では稲田朋美自民党衆議院議員以外ほとんどなかったと記憶しています。上の「主張」もそうですが、産経のスタンスは自民党清和会系(たちあがれ日本を含む)であって、自民党そのものですらないのだということを示しているとしか思えません。なぜ国会議員で最も多い民主党(系)議員に論説の場を与えないのでしょうか。
 産経のことをちょっと知っていれば、「民主党に意見を言わせるわけないだろ」と思ってしまうところですが、いちおう全国紙であり新聞倫理綱領の「正確と公正」を掲げている*2立場としては、たいへんおかしなことです。あるいは、たとえば西村眞悟氏は元民主党でした。彼のような民主党内民社系の政治家は、自民党清和会より産経新聞の立場に近いのに、彼らの出番すらないのは、タテマエを別にしても本当に不思議な話です。

*1: http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111115/fnc11111502540000-n1.htm

*2: http://sankei.jp/company/co_writer.html 。いつの間にかこのページに「産経信条」が復活していますね。