線形抄の死活観。

【産経抄】１０月３０日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111030/plc11103002530000-n1.htm

　囲碁もわたしはよくわからないのですが、地より石の死活を争った先の名人戦と政治の一般論を比較するあたりは、なんとなく理解できたような気がします。このへんまでは問題ないコラムなんですが、各論になるとおかしくなってきます。地より死活を争う、つまり国益（産経のことだから「国益」と鍵括弧に入れておくべきですかね）より政局を争うことも目的実現のためには必要だ、という話をしていたはずなのに、鳩山元首相と現内閣の諍いの話題になると、ここまでの流れをけろっと忘れたように「国益」、「国益」となるのですから。死活の話はどうなったのかと思うと急に≪元首相の過ちを糾弾し議員辞職に追い込むぐらいの覚悟≫を求めています。……なんやそれ。飛躍するにもほどがあります。過去にそんなことで辞職した元首相の例なんかあるんでしょうか。それとも安倍ちゃんあたりが率先して議員辞職してくれるんでしょうか。
　TPP（環太平洋戦略的経済連携協定,Tyuuka-na Pai Pai）にしても、党内融和を否定して戦えと言っています。死活が「実現のための手段」であることを忘れているのでしょう。政治家が目標を実現するためには寝技も必要なことぐらい、政治記者ならとっくにご承知のことでしょう。野田首相の趣味だという格闘技には、立ち技系だけがあるわけではありません。