黙然日記(廃墟)

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産経抄の「プロ市民」観。

産経抄】10月14日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111014/dst11101402490007-n1.htm

【40×40】宮嶋茂樹 風評被害拡大させる「プロ市民」+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111013/dst11101308220001-n1.htm

 本日の「産経抄」と、その元ネタになった「40×40」。後者の方は論評する価値もないのですが、参考までに。
 「自衛するのはよいが、他人を攻撃するな」とわたしは思っています。あ、防衛政策ではなく(それもそうですが)、放射線被害についてです。この点が表面的に「産経抄」や宮嶋氏と一致してしまうのは心外ですが。彼らは、原発推進の思惑を持って「自衛すらするな」と言いたく、それはできないのでしぶしぶ認めているのかもしれません。わたしは、まず「他人を攻撃するな」と思い、その前提として自衛そのものは当然と思っているのですが。*1
 ただその自衛も、あまりにヒステリックになっているようで気になります。マスヒステリーの行き着く先が他者への攻撃であることは、歴史を鑑としておきたいものです。
 さて、「産経抄」の中に「プロ市民」という言葉が出てきてしまいました。ネットスラングだよ。毒舌が売りの中堅コラムニストならまだしも、いくら引用とはいえ新聞一面コラムが使う言葉ではないでしょう。また、少なくとも本来は「市民活動を装った、実際にはそれで食っている専従活動家」という意味なのですが、それは承知の上で使っているのでしょうか。宮嶋氏は明らかに、立場を除いた「左派活動家」という意味で使っており、この時点で原義から離れているのに、「産経抄」はさらに勝手に拡張して使っており、「専従活動家」という原義を知っているとおそろしく違和感のある文章になってしまっています。ネット上で活躍する“プロ市民”には右派もおり、「プロ自民」(一般市民を装って自民党に貢献する人々)という言葉も生まれていますが、そのへんはご存じないのでしょうか。
 立場による批判を別にすれば、今日は比較的まともな流れのコラムだと思います。まともな「産経抄」のときは、しばしば美しい日本語やその原義にうるさい筆者が、新しい言葉に関してはこの体たらくというのは、情けない話です。

*1:防衛政策に関して、産経の立場はこれと逆になるのが面白いところです(宮嶋氏は攻撃容認のようなので除きますというか相手にしません)。「自衛はいいが攻撃するな」が、さまざまな局面で最大公約数になるということでしょうか。