黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の地理観。

北方領土「ロシア領」と表記 文科省後援「地理五輪」ポスター+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110930/plc11093006480005-n1.htm

 これは9月30日付。地球儀を見ては色分けにいちゃもんをつけるのが趣味らしい産経新聞が、またやらかしました。国際地理オリンピックのポスターに使われた写真の地球儀で、北方領土がロシア側に色分けされていたと、あたかも特ダネのごとく記事にし、抗議し、ポスターを撤回させたと自慢げに言いふらしています。という前置きがあって、今日の「主張」です。

【主張】地理五輪ポスター 「領土教育」の充実を図れ+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/111002/edc11100203450000-n1.htm
「単純ミス」で済ませられない問題だ。このようなことが起きるのも、学校などで「領土」を意識した教育がほとんど行われていないからだ。

 教育関連がなんでも「暮らし」カテゴリに入れられるのも納得いかなくて、普通の生活ニュースを求めてMSNを開く人を戸惑わせるだけではないかと思うのですが、それはさておき。
 引用部を含め、まるで国際地理五輪が領土問題を扱っているかのようにミスリードしているわけですが、実際はどのようなものでしょうか。

暗記力ではなく、「地理力」を競うオリンピック - 国際地理オリンピック日本実行委員会  *1http://www2.dokkyo.ac.jp/~rese0012/what/what.html
 「地理のオリンピック」というと、地名をどれだけ知っているか、世界の諸事情にどのくらい通じているかを競うものと誤解されがちですが、地理オリンピックはそうではありません。実際に過去問を見てもらうとわかりますが、私達が問うているのは「場所を見抜く力」とそれを「的確に表現する力」です。

 科学五輪の一部門である地理五輪が、教科書にある知識を問うようなものであるはずがないのは、数学五輪などのことを知っていればすぐわかります。だいたい、たとえば「北海道と中千島にはさまれたこの四島はどの国の領土か」という問題を、日本とロシアの高校生にそれぞれ答えさせ、どちらか一方を正解とするような国際五輪があるでしょうか。
 地理という学問で本当に求められているのは、そうした知識ではなく「地理力」だということをアピールするための競技会が国際地理五輪なわけですが、その趣旨をけろっと無視して領土主張、国粋主義に走る産経のお脳の見事さには感服するしかありません。

*1:ページタイトルは見出しから引用してこちらでつけました。いまどきフレーム式でページにtitleのないサイトって、すごいなあ。