黙然日記(廃墟)

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産経抄、わがままを言う。

産経抄】9月5日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110905/edc11090502530000-n1.htm

 自分の思い通りにならないといきなりキレる「産経抄」です。道徳の時間に躾を受けなおしてはどうでしょうか。
 「情報は貴重なもの」というマクラから本文への接続が≪もっとも〜皆無だった≫という逆接で、しかし本文ではその情報が貴重だとたわごとを述べているのですから、ここでもういきなり、論理か破綻しています。「卒業式で君が代に不起立だった教員のリスト」が貴重なものかはともかくとして。
 これが個人情報にあたるという教員側の訴訟は、彼らの肩を持つ側から見ても筋が悪すぎますが(なんでも「個人情報」で片付ける風潮には疑問があります)、相手が戦略ミスで負けたからといって勝ち誇るのもどうかしています。
 もうひとつ、神奈川県の教員が日本史の授業中にハングル文字を教えていたという件について。これは産経(だけ)がしばらく前から大騒ぎしている「問題」ですが、わたしから見ると、別の文脈でちょっと疑問かな、と。ハングル文字は知的に面白いので、その面白さを機会があれば他人に教えたくなるのはわかります。しかし日本史の授業なら、まず韓国語そのものの面白さを教えたほうが良かったのではないでしょうか。たとえば「アンニョンハシムニカ」と「お元気でしょうか」が、ほぼ単語レベルで直訳しても通じるという事実と、古代にはもっと近かったらしいことを教えれば、古代日本と朝鮮半島の歴史を学ぶ絶好の糸口になると思います。あるいはそのへんはとっくに済ませた上で、たまたま近代史でハングル文字の話題が出たついでだったのかもしれませんが。
 他の授業に影響が出ないなら(12月に近代史に入っていたなら、日本史の授業はかなり順調だったのでしょう)、多少派生したことを教えてもかまわないと思います。「授業は覚えてないが教師の雑談は覚えている」という人は多いでしょう。教科書に載っている朝鮮人虐殺事件の現場見学を主導したのも、どう考えても問題ありません。学習指導要領以外のことを教えるなというなら、教科書の冒頭から要領外の神話など載せている育鵬社教科書のほうが、よほど問題があります。なぜ産経がこの教師をぶちキレるほど敵視しているのか、まるでわかりません。嫌韓・排外主義のネトウヨに媚を売っているという以外の解釈ができません。だとすればずいぶん情けない話です。