黙然日記(廃墟)

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産経抄のおとぎ話観。

産経抄】7月16日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110716/stt11071603160001-n1.htm

 毎回様々な工夫をして読者を楽しませてくれる「産経抄」ですが、今日はおとぎ話仕立てで夏の朝にふさわしいさわやかな一編になっています……んなわきゃないだろ。カッと頭に血が上るか、笑い転げて体温が上がるかで、よけい暑苦しくなります。
 また、持ち出してくるのが毛沢東時代の大躍進政策で、共産主義あるいは毛沢東主義にとっては文革と並ぶ最大級の汚点ですが、それを菅政権批判に結びつけるのは無理があります。左翼とサヨクの区別が付かないようでは、そのへんのネトウヨと変わりないのではないでしょうか。それと、個人的な考えを政府の考えとして押し通せるのが独裁者であって、それができなければ《独裁者もどき》でしかありません。産経抄の危惧とは違い、「もどき」であるかぎりたいした害はないでしょう。
 なにより、おとぎ話仕立ては寓話にすることで現実を暗喩できることが最大の特徴なのですが、このコラムは後半がストレートな政権批判になってしまっており、わざわざこの形式を採用した意味がありません。せめて、「日本という国でも菅おじさんが〜」という形で批判を書けばまとまっていたものを、そうした文芸表現上の基本すらわかっていないわけです。こういうの、産経の紙面ではたまに見かけますね。なんなんだろう。