黙然日記(廃墟)

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産経「主張」と検察のチョウチン。

【主張】検察特捜改革 巨悪がほくそ笑んでいる+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110713/trl11071303280000-n1.htm

 産経新聞が東電・電力業界のタイコ持ちなのはすっかり有名になりましたが、検察・警察のチョウチン持ちを務めていることも、もう少し知られていいと思います。電力業界に対しては広告費というわかりやすいカラクリがあるのに対し、検察・警察にはまさか金銭がらみの利権はないでしょうが*1、それだけに勝手にチョウチンを持つ惨めさが際だちます。
 取り調べ可視化の試行について、警察側の意見の9割が否定的なものだったことを引いて、そらみろやはりダメだと言い張っているのですが、そもそも可視化に反対しているのは日本中で検察・警察だけです。その当事者が9割反対を示したからといって、試行前となにも状況が変わったわけではありません。このあと、試行結果について第三者による冷静な分析が必要なところなのです(やるんですかね?)。
 検察だけでは裁判は成り立ちません(このへんも産経は理解していないようですが)。裁判所においては、先日の陸山会事件裁判での調書大量不採用にみられるように、可視化されておらず任意性の疑わしい調書の証拠価値を認めない方向に進んでいます。こうした事例が一般化すれば、可視化せずに調書を取ること自体が無意味になりますから、否が応でも取り調べを可視化し、正常化せざるをえなくなります。こうした面からも検察の抜本改革が求められているのに、旧弊にしがみつく産経にはまだそれがわかっていないようです。
 「チョウチン持ち」というのは、暗い夜道で旦那様の足元を照らす係なのですが、ちょっとそのチョウチンを持ち上げて、偉いえらい旦那様の顔を改めて拝んでみてはどうですか。

*1:社会面や地方版記事での取材に関する、いわゆる記者クラブ利権はあると思われますが。