黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の大連立観。

【主張】大連立構想 基本政策抜きなら談合だ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110607/plc11060703000004-n1.htm

 現在の状況下で、期間・目的限定の大連立なら、わたしは消極的賛成の立場です。平時の多数派工作としての大連立とは前提条件が異なるからです。ただ、自民党を政権に戻し産経を与党なうにしてしまうことには、大きな不安があるのですが。
 その産経は、今回の大連立には反対のようです。自民党が埋没する可能性が高いからでしょうかね。それともまさか、総選挙を今やれば自民党は圧勝! と本気で思っているとか。いずれにしろ、そうした反対の理由をおおっぴらに述べることはできないためか、いろいろ考えたあげく、連立政権の原則である基本政策の一致を持ち出してきました。
 ところがこれは、大失敗なんですね。政策一致は連立の原則ですが、政治は原則だけでは動きません。今回の大連立は、普通の連立政権とは前提条件が違います。単に議会で多数を得るためではなく、震災復興と原発事故対策(そして消費税増税)という明確な目的のために、期限を切って協力しようという趣旨です。これを恒久的な連立にしようと言っている人は、誰もいません(腹の中はどうなのか、よくわかりませんが)。現在の民主党連立政権に対して、基本政策の合意が不十分だ、という批判を繰り返し、それが一定の範囲で有効だったから、今回もそれでいけると思ったのでしょう。すべての前提条件の違いを見落としており、たとえば具体的には、「この大連立政権で憲法問題をどうするか」という問いには、「そんなことは知らん。目的外なので保留する。一定期間経過して連立解消したら議論する」で終わりです。こうした目的限定連立という考え方を産経は理解できておらず、今までの批判手法に固執しているわけです。あさはかとはこういう短絡思考のことを言います。
 つまりこの「主張」は、いつもどおりの産経によるシャドーボクシングになっちゃているんですね。ま、いつもどおりということで、いつもどおりなわけですが。