黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

[watch:[sankei][politics]産経出身者の宣伝活動。

 地元では県議会・市議会議員選挙が始まり選挙カーがうるせーわけですが、ひとつ気づいたこと。

 これでも多数当選したら「自民党が勝った、勝った」と騒ぐんでしょうね。

【解答乱麻】参院議員・山谷えり子 ふるさとや家族を守りぬく+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110402/trd11040207350001-n1.htm

 2日付ですが、そんな自民党の山谷氏です。選挙前になるとなぜか出てきますね。なんかまああいかわらずでうんざりなのですが、例によって《最近の脳科学の研究では》とかトンデモをご開陳しています。
 典拠が明らかではないので、元になった論文が必ずしもトンデモとは限らないのですが、学会で主流になっている説から都合のいい部分をつまみ食いし曲解するというのも、トンデモの一つのパターンです。たとえば《3歳までは家族的語りかけの中で共感性が育》つというのはたぶん主流の説ですが、《家族的》は「実の家族による」と限らず、保育士などが母親的、父親的に語りかけることも服務と考えられますし、《共感性》は大人で言う「共感」とは異なり、「共に感じる性質」と読み下すべき言葉です。具体的には、「ほら、わんこがいるよ」「わんこ!」という会話によって、犬という対象物への視覚的注目を共有することができるわけです。これは、大人のように「犬はかわいい」という感覚を共有しているわけではなく、「自分から見て巨大で威嚇してくる生物」という感覚かもしれません。この会話では、感覚は共有できても感情は共有できていないわけです。その後のやりとりで子供の感情を保護者が理解できたとしても、それは《家族的語りかけ》の結果ではありません。おそらく、権威ある論のなかの「家族的」「共感性」という単語だけを拾って、自らに都合のいいように曲解しているのでしょう。
 その後の8歳、10歳、20歳のパターンもおそらく同じで、だいたい3歳から20歳までの発達論を1本にまとめた論文などあるはずないので、あちこちからつまみ食いしていることは明らかです。だいたい、《20歳前後まで抽象的概念や記憶の蓄積を含めて困難に取り組む課題を与え続ける》って、それは普通に「中学高校では今まで通りの形で勉強しろ」ということを言い換えてるだけじゃないですか。《8歳は丁寧な会話により社会性が養われる》って、それどう見ても脳科学の範疇じゃないですから。発達心理学や教育論からのつまみ食いを混ぜて「脳科学」の冠をかぶせているなら、これは似非科学を超えた立派な詐欺です。
 全編こんな調子で、あとは自分たちの“教育再生”と自民党の宣伝ですが、自分を自民党文教族》と認めちゃっているのがお笑いですね。
 山谷氏は衆院1期(当選は民主党から)、参院2期目で、首相補佐官ほか党内の役職もこなしており、次の選挙で自民党中心の内閣が成立すれば、入閣の可能性がかなりあります。ちょっと怖いもの見たさで見てみたいような気もするのですが、やはりそれだけは御免被りたいところです。でもまあ、「文教族」は山ほどいて文科相は競争率が高いでしょうし、女性閣僚の指定席である男女共同参画担当相にでもなったら、これは爆笑ものですね。
 あとどうでもいいけど、プロフィールの《サンケイリビング新聞》って、存在しませんよね。「○○リビング」の総称が「リビング新聞」で、サンケイリビング新聞社が発行していますが、「サンケイリビング新聞」と呼ばれる、総称される媒体はないはずです。山谷氏の経歴についてはいまさらなのですが、改める気はまったくなさそうですね。