黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「正論」の条例観。

自治基本条例という妖怪が徘徊 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/494783/
【正論】高崎経済大学教授・八木秀次 自治基本条例という妖怪が徘徊+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110308/plc11030802370003-n1.htm

 高崎市高崎経済大学地域政策学部で憲法学を教える八木秀次教授ですが、自治体の憲法というべき自治基本条例の制定には、たいへんご立腹の様子です。この構図だけで、なんとなく笑えてしまいます。地域政策学部って、自治を教えないで何を教えているんだろう。かと思うと、最後は(統一地方選を意識して)「みなさん、投票でこんな条例はやめさせてしまいましょう」と呼びかけているのですから、この人は「住民による自治」というものをなんだと考えているのか、理解に苦しみます。
 憲法学に(現憲法の解釈論だけではなく)詳しいはずの八木氏には、まさしく釈迦に説法だと思いますが、最高法規性は改正に特別の手続きを必要とするかで決まるものではありませんし、国法と自治基本条例の関係は、国際条約と国の憲法の関係になぞらえられるでしょう。「憲法がこうだからこの条約は受け入れられない」と突っぱねることもあれば、「条約を受け入れるために憲法を改正しよう」という例もあります。
 子供の権利条約について、八木氏が異様に反発するのは、なんなんでしょうね。日本教育再生機構理事長としての立場からなのでしょうか。意見表明が無効なら、たとえば学校の生徒会も無意味なものになります。学生運動の悪夢からなのかもしれませんが、生徒会による学校自治は戦前の、八木氏たちが理想としているらしい旧制中学にもあった仕組みです。