産経、いくつもやらかす。
入試問題ネット漏洩事件の容疑者逮捕で世間は大騒ぎですが、そんなたいした事件ですかね。軽い問題だとは言いませんが、騒ぎすぎです。ケータイやウェブが使われたからなんなのか。学生にとって消しゴムが身近なものなら消しゴムケースの裏に（略）というのと、同じようなものではないかと思うのですが。いずれにしろ、まだ容疑者逮捕の段階なので、決めつけるようなことは申せません。犯人が学生であるというのも決めつけで、社会人その他も受験はできますし、試験会場とは別ルートで流出した可能性もないわけではありません。さて。
入試投稿犯の逮捕 善悪の判断忘れてないか - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/494229/
【主張】入試投稿犯の逮捕 善悪の判断忘れてないか＋（1/2ページ） - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110304/crm11030402520006-n1.htm
見出しからまず突っ込まねばなりません。「〜犯」ってどういうこと？ この点ではもちろん本文も、逮捕された容疑者を完全に“犯人”として扱っています。文中で《被疑者》という単語も出てくるのに、その意味には気付かなかったのでしょうか。産経は何度もやらかして、そのたびにまったく反省していません。善悪の判断を忘れているのは誰なのでしょう。
ちなみに、犯人（この場合は犯人）が回答者に丁寧なお礼を述べているのは、そうしたマナーを守らないとネット上で相手にされなくなるからでしょう。Yahoo!知恵袋の仕組みは使っていないのでよくわかりませんが、Yahoo!オークションと同じように、質問者／回答者への評価システムがあるようです。このポイント稼ぎを、《最低限の礼儀はあるようだ》とは言いません。ネット文化への認識不足もいいところです。
最後のまとめは、《不正を許さない日ごろの教育が重要なことはもちろんだ》ですか。ふぅん。へええ。
【産経抄】３月４日 - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/494226/
【産経抄】３月４日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110304/crm11030402450005-n1.htm
こちらもなにやら、ことわざの類をいろいろと引用し、結構なお話をされているようです。最後のところの論理展開がおかしくて、結局《王道》をどちらの意味で使えばいいのかわからなくなっているのが惜しいところですが。いやまあなにんせよ、たいへん結構でございますよ、ええ。
あんまり引っ張るのもなんなんで、そろそろいきましょうかね。コメント欄でantisankei55さんや産経が大誤報さんから情報をいただいたネタで、sankeiaidokusyaさんがブログでまとめてくださっています。
入試問題ネット投稿事件で犯人取り違え 大誤報の真相は… - 産経新聞愛読者倶楽部
http://d.hatena.ne.jp/sankeiaidokusya/20110304/p1
詳細はリンク先をご覧いただくとして、いったいなんですかこれは。
誤報そのものは、人間ですから間違いもあります。一歩も二歩も譲って、それはいいとしましょう*1。しかし、2日付夕刊（大阪本社版、大阪本社しか夕刊を出していませんが）1面トップでやらかしたこの記事が、数時間後には大誤報と判明しており、「主張」「産経抄」とも予備校生逮捕を前提に書かれているのに、誤報への言及や多少なり友の遠慮は欠片も見えません。この誤報事件に対する社としての責任を自覚せねばならないところです。なのにいったい、こんなお説教な垂れ流しているのは、どういうつもりなのでしょう。そんな資格があるでしょうか。これが、「やらかし」の第三点です。
大所高所から結構なご託宣を述べるのは勝手ですが、ものごとの善悪レベルの基本的なところからわかっていない人間や組織がそれをやっても、笑い者になるだけです。産経新聞は自分からわざわざ笑い者になりたがっているようなので、これからも遠慮なく笑わせていただくことにします。報道被害を被った高校生や容疑者には申し訳ないかもしれませんが。
