黙然日記(廃墟)

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産経抄と雑誌「正論」、明らかにする。

産経抄】2月27日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/493462/
産経抄】2月27日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110227/trd11022702130000-n1.htm

 宣伝かよ。広告かよ。雑誌「正論」そんなに売れてないのかよ(でもこれで今月は広告効果確実ですね)。真っ先にそういうリアクションが出てきましたが、これだけツッコミどころが多い「産経抄」もひさしぶりです。開き直りか誘い受か、あるいはその両方なのか、破滅覚悟のドMプレイなのか。
 まず、雑誌「正論」に寄稿する産経文化人50人にアンケートを採って傾向が見えたからといって、なんの意味があるのでしょう。雑誌「潮」が創価学会員から理想の内閣アンケートを採って、その結果が公明党議員に集中した、と聖教新聞が書いているようなものです。ブランドだけ変えたって、駄目です。
 人気を集めた政治家が、安倍晋三氏を筆頭に平沼赳夫氏、石原慎太郎氏、稲田朋美氏というのも、わかりやすいといえばわかりやすいですか、あんまりにもそのまんまで、いったいどうしたものかと。怪人を倒すと巨大化して、戦隊側はロボを繰り出すのと同じぐらい*1、固定化していますねえ。先述の喩えでいえば、創価学会員が支持する公明党に当たるのは、安倍氏率いる創生「日本」と、現在は平沼氏一人が代表のたちあがれ日本、あともういっこ*2が組んで作った日本を救うネットワーク(救国ネット)、さらにぶっちゃければ日本会議でしょう。創生の安倍氏、稲田氏、たち日の平沼氏、石原氏らの名前が出てくるのは必然すぎて、報じる価値はありません。いやむしろ、ここまで露骨な“アンケート”を堂々と掲載する雑誌「正論」や、さらにそれを広宣流布する「産経抄」の存在そのものは、ニュースとして価値がありそうですが。
 安倍氏が、いくら“保守のプリンス”であっても、あれだけ失敗しておきながらなお(内輪から)3割の支持を集めるほど人気が高いというのも、腑に落ちません。彼が首相時代にやたら主張した「戦後レジームからの脱却」(なぜかここでは《「戦後枠組みの見直し」》という表現になっています)を評価するにしても、その考え方を持つ政治家は一人ではないのですし、安倍氏期待する理由としては薄弱で、まるで理解できません。政治家としてピークにある六十代に仲間内で期待できる人材がおらず、五十代では(弁護士時代を含め)ろくな実績のない稲田氏と、実績がマイナスの安倍氏しかいない。あとは八十がらみの平沼氏と石原氏に期待をかけるしかいないというのは、もちろん中川昭一氏の不幸があったとはいえ、陣営自体の行き詰まりを意味しているアンケート結果だ、と言うこともできるのではないでしょうか。
 それにしてもこの《日本再生の救国内閣》アンケートもそうですが、産経や「正論」周辺は、「救国」「国を救う」というフレーズが好きですね。福祉受益者や低所得者など*3を、国家財政に巣食うかのように言いたがります。しかし彼らこそ、財政ではなく「国」という概念そのものを求め、寄生しようとする、「求国」「国に巣食う人々」ではないか、としか思えません。

*1:バトルフィーバーJ』『超電子バイオマン』など、パターンに当てはまらない戦隊ももちろんあります。ちなみに、このへんのマニアですが、『海賊戦隊ゴーカイジャー』はとりあえず楽しんでます。先々は不安……。

*2:前杉並区長の山田宏氏と前横浜市長中田宏氏が率いる日本創新党ですが、今のところ議員も首長もいないのでその他扱いで。

*3:その多くが実は彼らを支持する、「肉屋を支持する羊」なわけですが。