黙然日記(廃墟)

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産経抄の独裁観。

産経抄】2月13日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/491305/
産経抄】2月13日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110213/mds11021302500006-n1.htm

 スフィンクス像の正面に、米国資本のファストフードチェーンであるKFCCがあることは、フジテレビの人気番組『トリビアの泉』で紹介されて、すっかり有名になりました。あのへんが市街地だと知って、いまさら驚く人もいないでしょう。世界最大の古墳の周辺が市街地だということに、誰も驚かないのと同じです。
 そういうわけでエジプト・アラブ共和国は、サダト時代の末期から親米路線を取り、後継者であるムバラク前大統領も踏襲しました。それに伴うイスラエルとの(いちおうの)和平がエジプトの国際的地位を高めたことは間違いありませんが、《米国と良好な関係を結》んだから、親米的だから国際社会やアラブ紙世界での地位をを高め、本来なら国民の信頼も得たはずだ*1という「産経抄」のこの評価は、どうもなんだか、おかしくありませんか。ていうか、どういう世界観してるんでしょうかこの人は。

 国民が独裁に耐えられる時間の限界が30年というのは、いったいなんの根拠なんでしょうね。一人の独裁者の施政はたしかに30年ほどが限界でしょうが、世界には集団指導体制や世襲による継続で、その倍以上の時間を一党独裁している国家(のようなもの)があります。日本のすぐ近所にいるそうした独裁者への警告をしたいのかもしれませんが、説得力がなさすぎます。まるで「中国や北朝鮮の一党支配は、国民による革命にも到らず60年も続いているから、『独裁』の定義に当てはまらない」と、肯定してやっているようなものではありませんか。いったいほんとに、どういう世界観なのでしょう。

*1:イスラエル和平では領土面で譲歩をしているわけで、いつもの産経的世界観だと、決して国民の信頼など得られないはずです。もちろん実際にはそうとは限りませんが。