黙然日記(廃墟)

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産経、かいこする。他。

産経抄】12月30日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/479642/

 「『さよなら』は別れの言葉、だけど『さらば』は……」とメーテルが言いかけると古代進(森雪だったかも)が激高する、というネタがその昔、月刊「OUT」に載っていたのをつい思い出し*1、さらに今年亡くなられた方のことなどいろいろ思い出していたら、つい時間が過ぎていってしまいました。光陰はいろいろな意味で矢のごとし。
 メインは世田谷一家殺人事件のことなのですが、リンドバーグ愛児誘拐事件のエピソードと対比してご遺族の悔しさに思いをはせるのはいいとして、リンドバーグ事件に冤罪説がある(というかかなり強い)ことを持ち出しているのは、なんのつもりなんだかわかりません。もし世田谷事件の容疑者が捕まっても冤罪を疑え、ということでしょうか。もちろんそれは必要にして重要なことですが、なにしろ産経のことなので、日本人が逮捕されたら「冤罪だ」、中国人が逮捕されたら犯人と決めつけるようなことをするのではないかと、本気で心配です。

回顧2010年 混迷に希望も芽生えた 大切な国を支えていく決意 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/479641/

 30日付【主張】は、回顧しています。しかし産経に似合う「かいこ」は他にもありそうな気がします。

  • 懐古 - (明治以後の)伝統墨守をひたすら唱える懐古趣味
  • 蚕 - 関連して、明治の殖産興業・富国強兵を支えた養蚕業への思い入れ*2
  • 解雇 - そろそろ経営もアレになり、かといって早期退職では優秀な記者から出て行ってしまうので、日航並みの指名解雇も考えているのでは、という邪推
  • 開港 - ペリーの黒船におびえつつ、横浜開港150周年イベント(ry の中田宏氏をいまだに持ち上げるセンス
  • 開口 - 口を開けば同じことばかりで、こちらは閉口させられます
  • 改稿 - こればかりは無縁ですね。記事を出せば誤字も誤報も出しっぱなし
  • 悔恨 - いろいろありそうですね。下野なう1周年とか

 2002年から2007年までの“戦後最長の景気拡大”(これほど実感のない景気拡大もなかったので、強い意図を込めて括弧でくくっておきます)を《いざなみ景気》と表現するのは初めて聞きました。「いざなぎ越え」みたいな言い方はしていたと思いますが、いつのまに決まったんだろう。
 「主張」の個々の指摘とは方向性が違うものの、《期待裏切った民主党》と言うべき1年であったことは確かでしょう。しかし、「消えた高齢者」問題や児童虐待大阪地検特捜部の証拠捏造事件までこの小見出しに含めているのは、なんのつもりなんでしょうか。
 んでんでんで、結論は《大切なのは国民一人一人が、この国や社会を支えていく決意を持つことである》だそうです。失業や社会保障をもうすこしどうにかしないと、そもそも国民一人一人が希望を持てないことは言うまでもありませんが、そういった視点はあいたわらずゼロです。2010年を回顧してみせるだけで、自らの2010年を顧みることは決してない産経新聞「主張」欄でした。

*1:セーラー服と機関銃』あるいは『夢の途中』がヒットしていた時期の、歌詞を踏まえたお題コーナーだったなあ。本来の歌詞を踏まえると逆になるわけです。

*2:関東地方の鉄道の歴史を調べると、たとえば山手線の成り立ちなどが典型ですが、「北関東の養蚕地帯から繭を集めて東京周辺で生糸や絹織物に加工し横浜港から輸出する」ことで日本の近代化が進められた経緯がよくわかります。