黙然日記(廃墟)

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産経のアナクロニズム。他。

産経抄】12月29日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/479359/

 かつての産経新聞政治部記者は、自民党担当しかいなかったようです。あるいは、野党担当も含めて全員が首相公邸の新年会に押し寄せていたのでしょうか。公邸側もさぞかし迷惑だっただろうと思います。

靖国アナクロ発言 官房長官の外交感覚疑う - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/479318/

 29日付【主張】。仙谷由人官房長官が、小泉純一郎氏の首相としての靖国神社参拝を、アナクロな感覚に基づくもので、おかげで日本の対アジア外交に禍根を残していると発言したことに、異様なまでの噛みつきをみせています。《どれだけ時代がたっても、首相が国民を代表して哀悼の意を捧(ささ)げることは当然の務めである》。これはまったくそのとおりで、過去の戦争の犠牲者、特に日本にとって最後の戦争の犠牲者をきちんと追悼する義務が政府にはあります。「アナクロ」と表現されたのは、戦死者を追悼することではなく、追悼の場が靖国神社しかないと考えていた点です*1。こうした問題のすり替えで自らのアナクロニズムを糊塗できると思っているのでしょうか。
 菅内閣や仙谷長官の外交姿勢が中国に媚びたものであり、にもかかわらず中国側の姿勢が強硬なままだとしても、小泉氏の残した禍根が尾を引いているという認識になんら矛盾はありません。2005年反日デモの原因の一つに小泉氏の靖国参拝強行があり、今年の尖閣事件を契機とする反日デモにその記憶が引き継がれていることも、明らかです。
 しつこく繰り返しますが、戦没者追悼は無宗教の追悼施設に寄る辺着物で、宗教法人靖国神社「だけ」が追悼の場であるという前提を外して考えねばなりません。追悼施設の成立にいったいなんの問題があるのか、説得力のある議論を聞いたことがありません。

仙谷氏「専業主婦は病気」と問題発言か - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/478771/

 コメント欄であぐりこらさんからご教示いただいた27日の記事で、はてブ*2なんか見るとさんざ盛り上がったあとなのですが、仙谷氏ネタのついででもあり、やはり記録しておきましょう。
 「男は外で働き、女は家を守るという考え方は、戦後社会の生み出した病気のようなものだ」という趣旨の発言の、「病気」という表現にはいささか首をかしげてしまいます。一般的には「病巣」といった表現を使うと思いますが、講演ですから耳で聞いてわかりやすい単語にしたのかもしれません*3。いずれにしろ、戦後社会、男性優先社会の抱える病巣であるという発言であって、「専業主婦は病気」という主旨だと捉えるのは、ここまでを理解できる人なら誰がどう見ても歪曲報道です。
 ただ、男性優先社会への批判そのものが気に入らないのに、それをあからさまにできないものだから、歪曲してまで問題発言だとして取り上げたかったのでしょう。はてブでも何人か、ヘッドラインだけに釣られている人がいるので、産経レベルでは十分に効果があったものと思われます。この、半年以上前の仙谷氏(当時は官房長官ではなく国家戦略担当大臣)の発言を引っ張り出して問題視した理由については、記事の最後にオチのように付け加えられています。月刊誌「正論」2011年2月号で、八木秀次高崎経済大学教授がこの発言を掘り返し、それを産経が紙面で紹介したというわけです。八木氏や一部「正論」メンバーの、こうした発言の掘り返しについての熱意には舌を巻きますが、雑誌の中だけでやってりゃいいものをこうして新聞に載せ電子版で配信すると、満天下の笑い者になってしまうという悲惨な結果となってしまいます。いつまでこんな糊塗を繰り返すのか、産経「正論」路線の病気としか思えません。

*1:あれを「アナクロ」と評するのも、なんか違うような気かするのですが。

*2: http://b.hatena.ne.jp/entry/sankei.jp.msn.com/politics/policy/101227/plc1012271319010-n1.htm

*3:幼稚園情報センターのサイト http://www.yochien-joho.com/headline/?date=20100501 では発言要旨のみです。