黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経コラム、武装を唱える。

 どうでもいいけど、iza!のトップバナーがほんとに自社広告ばかりになってしまいましたね。まあ、内容がこの調子では、他スペースやMSN産経ニュースの方にスポンサーが付いていること自体、奇跡みたいなものですが。

【安全保障読本】(47)米国の日本離れ加速に懸念 「鳩山発言」は単なる思いつきですから (1/3ページ) - MSN産経ニュース
2010.12.19 20:50
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101219/plc1012192051013-n1.htm
野口裕之の安全保障読本】半世紀前…池田勇人氏の「予言」的中 - MSN産経ニュース
2010.12.20 10:21
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101220/plc1012201021004-n1.htm

 ええ、同じ記事です。RSS配信の記録を見ると、19日のページは最初の1行(池田勇人の発言)が欠落した状態で公開されていたようです。しかし現在は修正されているし、見出しも間違えて配信してしまったのかもしれませんが(そもそもそういうミスをすること自体問題ですが)、見出しを書き換えることもニュースサイトではよくある話なので、なんで二重に配信し以前のページを残してあるのか、さっぱりわかりません。
 野口記者はここでは、このまま日本が裏切れば日米同盟は破綻する、現在そうなっていないのは、米国から見て《中国に対する戦略に、日本の利用価値が残っているから》だと説いています。わかってるじゃないですか。現時点で、米国は日本から完全に手を引くことはできません。ならばその立場を(まさに地政学的に)利用して、「対等で緊密な日米関係」を志せばよいだけのことです。後述のように、どちらかといえば反米の立場にある野口記者は(あるいは同じ反米保守の産経論説陣は)、なぜか日米同盟だけは堅持しなければならない、と主張したがります。そのくせ、自衛隊を強化しろとも言っており、これも米軍にとっては負担軽減の意味で都合のいい論説です。総体的に見て、何がやりたいのか、さっぱりわかりません。少なくとも、日本国の独自性を重視しているとはとても思えないのですが。

【軍事情勢】日本をむしばむ「事大党政権」 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/475963/

 ついでに、こちらは本当に19日付らしい、SANKEI EXPRESSでの野口記者の連載記事です。野口記者のコラムは毎回面白いので、ほんとは今までの積み残しもじっくり取り上げたいんですけどね。なお、この記事は韓国巡視船への中国漁船体当たり事件の直前であることは注意しておきます。
 李氏朝鮮末期の事大主義派、いわゆる事大党が日本を支配しているぞ、という話。野口記者は、産経のなかでも特に反米保守の色合いが強い記者で、この《日本事大党》も党派を問わない、現在の民主党政権だけでなく過去の自民党政権にもいた、と述べています。おそらく自民党主流派(保守本流)のことでしょう。稲田朋美自民党議員などもそうなの手須賀、こういう人はやっかいです。自民党べったりでその実績を主流派・反主流派を問わず持ち上げている人、たとえば産経「主張」欄の主流派の人々はまだよいのですが、野口記者や稲田議員のように保守本流まで否定する“真正保守”派の人には、ある意味で批判が通用しないのです。現実的にどうするべきなのか、と質問しても、まともな答えが返ってきませんから。
 事大主義(「大に事(つか)える」、つまり寄らば大樹主義)は、自立心がないとも言えますが、圧倒的な大国の地位を得ているわけではない多くの国にとっては、現実的な保守主義を意味します。李氏朝鮮中華帝国、つまり明朝と続く清朝に仕える属国でしたが、陸続きの挑戦にとって、特にすぐ近くの北京を都とする中華帝国に対しては、他に選択肢はありませんでした。明国人の海賊をそのまま送り返したというのも、属国には裁判権がなかったからではないでしょうか。尖閣事件の対応とはかなり意味が違い、むしろ沖縄などで米兵が起こした事件と比較すべきところです。野口記者はそれも非難するかもしれませんが、いちおう指摘しておくべきところです。

具体策なき日米韓 リスクあっても軍事報復必要 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/korea/476505/

 【ハロランの眼】または【ハロランの眼 太平洋の真中で】というコラムが、ほぼ隔月ペースで昨年から掲載されていたようですが、まったく気づいていませんでした。著者名の表記もないので最初は特命コラムかとも思いましたが、長さからしてちょっと考えにくいところです。ざっと検索してみて、どうやらハワイ在住のノンフィクション作家・ハロラン芙美子氏が筆者ではないかとあたりをつけたのですが、これでいいのでしょうか。【野口裕之の安全保障読本】のようにタイトルで筆者を明示しているわけではないのですから、そのへんはきちんとしてもらいたいものです。
 ということを調べるのに手間取って、内容を読んでいなかったので読み始めましたが、いきなり映画『ベスト・キッド』("The Karate Kid")の説明から始まっています。少年の努力を描いた良い映画で、大ヒットもしましたが、もちろんフィクションです。映画の内容とコラムの見出しを比較するだけで、何が書いてあるのか想像できてしまったので、あとは読んでいません。