黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経記者の最後の授業。他。

中国紙 本音は劉氏祝福? - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/474510/

 ジャーナリズムである以上、言論の自由を求めた劉暁波氏を支持し、言論規制をする中国政府に反発するのが普通でしょう。なんで「?」をつける必要があるのか、さっぱりわかりません。まさかいまだに、中国には「人民日報」「新華社通信」の国策メディアしか存在しないと思っているわげはないでしょう。空席の椅子を鶴が祝福する写真について(それにしてもよくあんなショットが撮れたものだという点だけでも尊敬します)、「南方都市報」は政治的意図を否定しており、言論統制が現に存在する以上やむを得ない保身でしょうから、そのフォローは必要だとしても、日本の読者には誤解を与えかねません。
 それはそれとして、日本では、アジア・パラリンピック広州大会そのものの報道がきわめて少ないですね。オリンピックのパラリンピックでも、たとえば今年のバンクーバー大会のテレビ生中継はBS・CS含めてまったく行われず、NHK教育で(おそらく福祉番組扱いで)毎日30分のダイジェストが放送されたのみでした。CSとかなんのためにあるのよ。

フランスの出生率、欧州トップの秘密 「人口は国力」 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/europe/474584/

 山口昌子・パリ支局長の記事です。もともと『最後の授業』のアメル先生のごとく、"Vive La France!"な人ではありますが*1、出産や育児への補助がいかに手厚いかを熱っぽく語っており、シングルマザーや事実婚の支援制度にまで触れているのはのは奇観と言うべきでしょう。産経の記事というより、村野瀬玲奈さんのブログを読んでいるような気分になりました(笑)*2。《人口は国力》の概念を第一次世界大戦時の兵力不足から説き起こしているあたりは、かなり違いますが。フランスの少子化対策も、要するに手当の充実と、幼稚園(長時間保育で実質こども園)や育児休暇の質の高さがポイントなわけで、フランスを持ち上げようとするかぎり、民主党マニフェストの(少なくともこの面での)正しさを強調するだけの記事になってしまうわけですね。
 余談ですが、菅直人内閣の方向性について、わたしにはよく理解できない面がありました。社会保障充実を謳いながら増税圧力を強めていることは「大きな政府」で理解できるのですが、それと防衛力強化に対する明らかな熱意が、どう結びつくのか、と疑問だったわけです。これを、菅首相はフランスの体制をお手本にしていると考えれば、かなりわかりやすくはなります。もちろん日本とフランスでは置かれている状況がかなり違うので、そのまま当てはまるわけではありませんし、菅氏がフランスの姿勢に傾倒しているという話もあまり聞きませんし、他にもっと適切なモデルになる体制があるのかもしれませんし、この理解が正しいとは限りませんが。ちなみに、小沢一郎氏が英国をお手本にした政治姿勢であることはよく知られています。

[expression]追記。

表現の自由」と「規制」双方を反映で決着 性描写規制条例    - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/localpolicy/474730/

 コメント欄でGI17さんからもご指摘いただきましたが、実にくだらない記事が出ています。実は今日は他にもネタはあったのですが、この記事のあまりのくだらなさに脱力し、哀しくさえなってしまって、すでに書いた文以上を続けることができませんでした。すみません。

*1:「フランス万歳!」の意。Wikipedia:最後の授業から引用。この作品の政治的評価については、もはや広く知られていると思いますが、いちおう同百科事典を参照のこと。昔、教科書に載っていたバージョンでは「フランス、アルザス! フランス、アルザス!」だったように記憶しているのですが。

*2:たとえば http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1180.html 、これは毎日新聞記事の紹介ですが。