黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の対応遅れ。

情報テロ 公開には責任と覚悟必要 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/470218/

 Wikileaksのやりかたをすべて支持するわけではありませんが、思想としては理解できます。「情報の完全な共有」はハッカー倫理の第一項目であり、その根底にはアナーキズムがあります。「アナーキズム」は否定的なニュアンスで捉えられることが多いのですが、本来は(右翼左翼とすら関係ない)中立的な価値観であり、「既存の体制を認めない」と言うよりは「既存の価値観と別次元の価値観」を重視する立場だとわたしは考えています。「XHTMLとHTML 5.0のどちらがエレガントであるか」と「Wikileaksの行動は正しいか」を同一線上で論じるような、通常の政治論議とは接点のない世界が、現実の政治世界に力を持ち始めたということで。これが、本物のネット時代というものなのでしょう。「ハッカー」という言葉が誤用され続けているように、ハッカー倫理も理解されるものではありませんし、逆に、現実の政治に手を突っ込んだという点でWikileaksを批判することも可能です。
 3日付「主張」の言う「情報公開」「知る権利」も、評価軸そのものが違うものを比較しているような違和感があります。最近連続した三つの国家機密情報流出事件、つまり警視庁テロ対策情報流出事件、尖閣ビデオ流出事件、米国外交公電流出事件について、尖閣ビデオ事件だけ「公開は国益」、他の二つは国家機密がとか言うのも、無理がないでしょうか。産経の対応が3日付と、妙に遅かったことも注目しておきます。非礼発言問題とかどーでもいいことに紙面を割いていたせいもあるでしょうが、こと対米問題となると、ときおり産経の反応が妙に手間取ることがあるという印象を持っています。産経社内に、伝統的な親米派と、若手を中心とした反米保守派がいることは、さまざまな「産経新聞」の解説にも必ず記述されるようなことですが、このあたりで混乱が生じているのではないか、というのが個人的な憶測です。