黙然日記(廃墟)

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産経抄、ならず者を論じる。他。

産経抄】11月24日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/466676/
北朝鮮は、どこかの新聞がかつて(今も?)ほめそやした人民の人民による人民のための社会主義国家ではない。

 ああ、1950年代に帰国事業を推進した産経新聞のことですね、わかります。まさか、その責任を朝日新聞だけに押しつけて知らんぷりはしないでしょうね? 
 《記念の一発とすれば金正日、正恩親子は狂っているとしかいいようがない》という表現は、いったい、冗談のつもりなのかなんなのか、真意を疑わざるを得ません。他人を、仮にも一国の統治者をいきなり狂人呼ばわりするのは、先日野口裕之記者もやらかしていました*1。もちろん北朝鮮指導部に関して、そうした表現を否定するわけではありません。現在いちばんもっともらしい解釈である「米国を交渉の場に引き出す目的」だとしても、あるいは《若殿を言祝ぐ襲名披露のつもり》という解釈が当たっているのだとしても(無言でぶっ放してきたのに、なんで「言祝ぐ」とか書くのかも理解できませんが)、そのために民間人の同胞に向けて砲撃するなど、たしかに狂気の沙汰とという表現もやむを得ません。しかし、その前提とする仮定があまりに無意味なものであっては、ならず者国家に対してだとしても、無礼に過ぎます。あるいはたとえば、「産経新聞が、50年前から引き続いて『日本は北朝鮮のように民主主義を抛棄し軍備に専念する理想国家になるべき』と主張しているなら、それは異常だ」という文章では、仮定の部分があまりに事実と背反しており、全体もまた批判になっていないことはおわかりだと思います。
 砲撃の事実が伝えられ被害がおおむね明らかになったあとの17時26分から20時25分まで、首相が関係閣僚会議を開催しないで何をしていたかというと、宮中行事に出席していました。23日は勤労感謝の日で、宮中行事のうち宗教面では1年で最も重要とされる、新嘗祭が行われていたのです*2。これにより官邸の対応が遅れたのは事実ですが、保守を自認する産経は、内閣総理大臣新嘗祭に参加したことに、まさか文句はつけませんよね。また菅政権は、菅直人首相や仙谷由人官房長官の前歴からは意外とも思えるほどに、防衛政策については強硬派と見ることができます。実際、ここで抄子が求めているような対応は、今日になってあらかた行われています。「暴力装置」をあいかわらず罵りの言葉とするデマをまき散らす前に、きちんとそうした面を認識してから政権を批判するべきではないのですか。
 下野なう産経が政権批判に転じたのは、マスメディアとしては正しい方向ですが(また自民党に政権が戻ったときにも同じ方向性を続けられるかは疑問とはいえ)、政権が実際には何をやっているのかをきちんと認識して、批判すべきところだけ批判するのでなければ、それはただの「ならず者メディア」のすることです。

北の砲撃 移行期の「暴発」に備えよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/466682/

 24日付「主張」。産経のことなので、「今すぐ武力報復」とか吹き上がるかと思ったのですが、思ったよりは冷静に事態を見ているようです。思ったよりは。

「危機の宰相」演出に躍起 満身創痍の首相に慈雨となるか - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/466657/

 有事に際して政権批判に血道を上げる、愛国心のカケラもない報道メディアについて、産経新聞はどのようなスタンスで評価するでしょうか。

朝鮮学校無償化の適用「重大な決断する」 高木文科相、見直し言及 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/education/466810/

 日本国政府の意思表示として、経済制裁の追加が必要なことには同意します。もちろん産経も大喜びですが、それはさておき。かといって、普通の貿易などはもうほとんど制裁対象になっているので(ちっとも効果がなかったわけですが)、他にいいアイディアがないことも理解できます。しかし、この方向にならないことを願います。子供を政治の道具にするなということです。

広島市の「子ども条例」、反対で署名呼びかけ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/localpolicy/466780/

 こういう時期なのに(といってもイベントは23日の昼でしょうが)、《「過度な子供の権利意識は、家庭内や教育現場での混乱を招く」》という記事に紙面を割くメディアがあるわけです。

GHQ傘下の「山崎機関」判明、日本軍の情報将校が「戦略地図」作製、朝鮮戦争の米軍事作戦に活用 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/466680/

 これは調査報道的な内容で、久保田るり子記者の署名になっています。普段なら今日の朝刊トップのスクープ扱い記事だったのでしょう(感心してくれる人は少なさそうですが)。なんとタイミングの悪いこと。いや、このタイミングで朝鮮戦争秘話というのは、狙ってやっているのかもしれませんし、旧軍の一部(特に情報機関関係者)が占領軍の手先になっていたことを、読者からは目立たず業界内輪では評価されるタイミングで報じたかったのかもしれませんが。