黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経、速報性を重んじる。他。

 えーまあなんだか、閣僚辞任とかそれどころじゃないことになっているわけですが、とりあえず物事は順番に。

柳田法相辞任 問われている内閣の存立 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/466384/

 23日付「主張」。政治家が発言の責任を問われるというのはかつて、よほど重大なものではないかぎり、国会での発言だけに限られていたように思うんですよね。「バカヤロー解散」とか「貧乏人は麦を食え」とか。それが、国会以外、あるいは閣僚記者会見などでの公式発言以外でも問題視されるようになったのは、やはり1990年代からでしょうか。権力への監視が厳しくなったという意味では、良いことなのかもしれませんが、「政治家の言葉が軽くなった」とよくマスコミが嘆くような事態を、そもそもマスコミが生み出したような気がします。事実上の閣僚更迭が連発されるとすぐに政権が弱体化し、政治も不安定になるわけですが、これが権力への監視が強まったこととの得失がどうなのかは、簡単には言えません。ただ、なんだかマッチポンプを見ているような感覚もあります。
 どうでもいいけど産経は、柳田氏が民社党出身であることや、拉致問題担当相を兼ねていたことは、まったくスルーのようですね。

砲撃関連。

 まとまった話は明日として、まず、今回の砲撃で亡くなられたお二人のご冥福を祈り、負傷し避難されている方々へのお見舞いを申し上げます。

北のウラン濃縮 日米韓で脅しはねつけよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/466383/
 緊張感を高めて制裁を骨抜きにする、いつもの瀬戸際戦術である。露骨な威嚇に乗じられてはなるまい。

 23日付「主張」。今読むと、なかなか鋭い指摘です。明日あたり、産経自身が《露骨な威嚇》に乗せられてしまう可能性だけが心配です。

「砲撃による死者、数十人」とKBS報道 島民脱出の情報も - イザ!
2010/11/23 16:42更新
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/korea/466493/Web魚拓
【ソウル=加藤達也】韓国KBSテレビは23日、北朝鮮の砲撃による死傷者が数十人に上ると報じているた。

 報道において、速報性と正確性の両立、また、いずれをより優先するかは、永遠の課題です。「ネットファースト」を掲げる産経の、多少の正確性を犠牲にしても速報性を重視する判断は、いちおう尊重します(KBSテレビも速報性を優先したわけです)。16時42分といえば、まだまだ情報が混乱していた時刻でもあります。しかし、限度ってものがあります

100発以上の砲弾「これは訓練ではない」 震える島民、防空壕に避難 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/korea/466596/

 これはなんだかわからない無署名記事。前半は韓国の報道をつぎはぎしてそれっぽく迫真的に書いていますが、危機感を煽りたいのでしょうか。途中の、産経記者自身による電話取材のあたりはいいとして、リードで《北朝鮮の“暴挙”。在日韓国人や日本人からは「なぜこんな行為を」と怒りの声が上がった》と書いてあるのに、ソウル在住の日本人1人の声が紹介されているだけです。そもそも、この記事の中で在日韓国人の声を紹介したとしても、その意図がわかりませんが。
 ちなみにこの記事によると、現地の防空壕には水や食糧の備蓄も乏しく、布団なども夜になった時点で用意されていないそうです。避難された方々の今夜の状況が心配されます。避難訓練は頻繁に行われていたそうで、国境最前線の島ならそうした危機管理への対応は常にされているものだとばかり思っていましたが。

首相「報道で知った」鈍い初動、危機管理薄く 北朝鮮砲撃 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/korea/466609/

 日本国の危機管理体制も問われています。政府が関係閣僚会議を開いたのは砲撃開始から6時間以上経ってから、とこの記事は指摘していますが、大韓民国政府の関係閣僚会議が始まった、というニュースも、日本のテレビに張り付いていて得た情報では、4時間か5時間経ってからだったような……。李明博大統領が迷彩服を着て声明を発表したのは、まだ明るい時刻だったようですが。