黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「主張」がわからない。他。

在り方検討会議 検察弱体化につなげるな - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/465609/

 21日付「主張」なんですが、さてまあ。まず、「検察の在り方検討会議」を見出しのように《在り方検討会議》と略せるセンスがわかりませんが、このぐらいで「わからない」とか言ってしまうと、この先で表現に困ることになります。
 《柳田氏の「法相はいい。2つ覚えておけばいいんですから」との発言は司法そのものをおとしめた》というのが、わけがわかりません。法務大臣検察庁を監督しますが、直接掌握しているわけではありません。ほぼ唯一の政治的判断は指揮権発動となり、その権限はあるものの、発動は政治的には大問題とされます。また柳田発言は、検察に直接言及したものでもありません。法務省はあくまで法務行政を管轄する官庁であり、柳田氏の問題発言は国会答弁についてのものですから立法の分野に関わるものでもありますが、《司法そのものをおとしめた》という理屈は、いったいどこから出てきたのでしょうか。この「主張」は、政治からの検察の独立を強調してこの検討会に反発していますが、その論の途中で検察の独立性をまるで無視できるという、まことに奇っ怪な論理です。
 千葉景子・前法相の座長就任に不満があるのもわかりますが、《証拠改竄事件の舞台となった郵便不正事件公判時の法相である》とはなんともひどい。証拠改竄そのものが行われたのは2009年5月で、千葉氏が法相に就任する前です。事件発覚も2010年9月21日、たまたまですが千葉氏が法相を辞任した直後です。公判期間で区切って責任を問うことに、いったいどういう意味があるのでしょうか。
 検察の独立性が重要なことは、産経がいまさらご高説を垂れるまでもなく、当たり前のことです。現在危惧されているのは、独立性が高すぎてブレーキのない装置になってしまっているのではないか、という点です。民主主義社会においては、なんらかの外部からの監視システムが働かない国家機関などありえません。検察審議会がようやく機能しはじめたものの、まだ不十分ではないかという事例が出てきたので、さらに検討しよう、というわけです。それが政権の都合のいい形にされないかという監視は必要だとしても、「検察の独立性」だけを金科玉条として扱うことはできないでしょう。

【軍事情勢】恥ずべき饒舌、恥ずべき沈黙 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/465591/
 日本語では、こうした行為を「恥知らず」と呼ぶが、民主党内にはもう一人、小沢氏という、そう呼ぶにふさわしいが人物が鎮座されている。

 あいかわらず、「軍事」という言葉の意味がわかっていないらしい野口裕之九州総局長です。要約すると、鳩山由紀夫前首相、小沢一郎民主党代表、潘基文国連事務総長菅直人首相各氏の、政治的言動に関するいちゃもん付けです。いちおう普天間問題に関する発言も一部に含まれてはいますが、ほとんどは北方領土問題や中国の言論弾圧にかんんする問題です。これが野口記者にとっての《軍事情勢》なのだなあ、と思うと、産経の軍事記事があらゆる方面から批判される理由がわかるような気がします。
 上に引用した部分ですが、《ふさわしいが人物が》なんて日本語はありません。《日本語では》と大上段に出た直後にこういう文字列をそのまま垂れ流すことを、日本語では「恥知らず」と呼びます。《鎮座されている》というのも、皮肉として尊敬語を使ったのか、受動態と能動態を間違えたのか、判断に苦しむところです。