黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経シンクタンク、歴史を弑す。他。

産経抄】11月13日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/462657/

 落語『鹿政談』についてはWikipedia:鹿政談に妙に詳しいあらすじが載っていますが、奉行が鹿を犬と言いくるめようとしたのは、鹿の餌代を管理する担当者が不正をはたらいていたことを知っていたからで、「そのために飢えた鹿がきらずをあさったのだ」と告発するというのが、この話の眼目です。現代にたとえるなら、行政の不正を司法が告発し処分するような話です。《「悪法」から「政治主導」によって庶民を救った》と言ってしまうのは、かなり趣が異なっています。
 朝鮮学校無償化については、実際に落語のような笑い話がありました。

拉致がらみの答弁を拒否 柳田拉致問題担当相 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/462627/

 産経の見出しでは、柳田稔拉致問題担当相が大変な極悪人のようですが、記事をよく読むとこれも趣が異なります。稲田朋美議員が、法務委員会で柳田法務大臣朝鮮学校無償化について質問し、柳田法相は「ここは法務委員会で、今は法相として出ているのだから、拉致問題や教育問題について答弁するのは不適切。てゆうかここでそんな質問すんなよ」と答えただけの話です。こういうことしてるから相手にされなくなっていくんですよ、稲田センセイとか産経の記者とかは。

へそが茶を沸かす 仙谷氏の詭弁と独善 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/462632/

 はいその、トンチンカンな質問ばかりして首相会見でスルーされるようになったと愚痴っていた阿比留瑠比記者の記事です。仙谷由人官房長官が、海上保安官が名乗り出た時点で推定無罪の原則を忘れたような発言をしたことは問題ですが、そこで阿比留記者が、小沢一郎氏の強制起訴のときに仙谷氏は推定無罪を強調していたではないか、と噛みつくのは、まったくヘソが茶を沸かすような話です。そのとき、原則を無視して推定有罪をわめきチラしていたのは誰だったでしょう。もちろん一人の記者だけではありませんが、小沢氏の発言を集めただけでアルファブロガー(笑)になった記者も、さかんにやらかしていましたよね。
 また、海上保安庁長官と国土交通省大臣の「責任のあり方が違う」という発言は、別に珍妙なものとも思えません。責任逃れのためだけにそう述べたのだとすれば(あるいはそう決めつけたいという姿勢からは)、矛盾していると感じるだけでしょう。
 《誰彼かまわずかみつく「癖」も相変わらず直らない》というのは阿比留記者が自分のことを言っているのかと一瞬思いましたが、考えてみるとこれは違いますね。「こいつに噛みつけば誰の利益になるか」ということはちゃあんと考えているみたいですから。
 阿比留記者が《へそが茶を沸かす》と表現しているのは、事務次官会議を廃止した民主党政権菅首相が、今回の事件で事務次官を招集して再発防止を伝えたことについてなのですが、定期的な事務次官だけの会議(で政策を決定してしまうこと)と、各省庁の組織トップに首相が要求を直接伝達するのは、まるで違う話です。ていうかむしろ、これこそ「政治主導」の形にあたるのではないでしょうか(形式だけとはいえ)。こんなことで茶を沸かせるぐらいなら、阿比留氏は新聞記者を辞め産経新聞社も退職して、伊藤園象印マホービンに再就職したらどうでしょうか。

【週末に想う】真実にフタをしようとした愚 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/462761/

 SANKEI EXPRESS掲載、エフシージー総研の小林静雄氏によるコラムです。カタカナだとわかりづらいですが、FCG総合研究所は、フジサンケイグループ(FUJISANKEI COMMUNICATIONS GROUP)のシンクタンクのようなものらしいです。フジサンケイの頭脳を集積した組織の情報調査担当常務取締役であるこの小林氏は、やはりなかなかの人物であるようです。
 《「崔杼、その君を弑す」》を冒頭と最後に置いてオチをつけたつもりのようですが、これは中華文明における「正しい歴史を残す」ための執念を物語るエピソードとして司馬遷が書き残したものであります。
 小林氏によれば、8日に行われたアジア大会男子サッカーの中国−日本戦は、5日の尖閣ビデオ流出を受けて中国政府が態度を改め、国内の反日感情を抑えるため、厳重な警備体制を敷いたのだそうです。ビデオ流出前から反日デモは下火になっており、それは反日のはずのデモが反政府暴動に近づきつつあったから規制を強めたのだという分析は、産経を含む各メディアで報じられているところです。また、スポーツ大会に排外感情を持ち込ませないことは、国際的な常識でもあり、中国政府も国際的常識(言論を理由に懲役刑にはしないなど)はわきまえないながら体面は非常に重んじており、北京五輪を含む主催した多くのスポーツ大会で、「とにかく大過なく終わらせる」ことだけを目標にしてきました。今回もあきらかにそれの延長で、そもそも中国政府がビデオ流出以後態度を改めたという根拠が、このサッカーの試合以外まったく示されていないのですから、話になりません。
 引用されたエピソードの主役は、死を覚悟して真実を書き残そうとした史官(記者)たちです。権威におもねり、主観で事実をねじ曲げて歴史に残そうとした記者たちが、後世の歴史家から厳しい非難を受けたことも、中国の歴史書そのものが教えてくれます。

外国人の土地取得 危うくするな安保と国土 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/461827/

 こぼしていましたが11日付「主張」。もはや懐かしくなってしまった産経の対馬キャンペーンおよび産経の水キャンペーンが、まだ続いていたというか名残があったということですね*1

尖閣を守れ!」4000人が横浜市内でデモ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/462944/

 APEC会場近くで、頑張れ日本!全国行動委員会田母神俊雄会長)が、頑張って日本の恥を行動で示してくれました。先日のG20訪韓した菅首相の前で、「竹島(独島)は韓国のもの」というデモ隊が現れたら、産経はどう報じたでしょうか。そして案の定、APECではドミトリー・メドベージェフロシア大統領も訪日しており、国後島上陸の直後というタイミングなのですが、頑(中略)委員会は、北方領土のほの字を訴えた形跡もありません。

事後で停車中…突っ込むトラック 男女2人死亡 大分   - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/accident/462719/Web魚拓

 本文を読むまでもなく、《事後》が「事故」のタイポであることはわかるのですが、被害者のお二人に失礼きわまりないとは思わないのでしょうか。昼過ぎにはイザ!ブログで指摘されているのに、いまだにそのままです。

*1:“水”に関しては中川昭一氏が、急死されるまで主なテーマとして手がけていたものだそうです。そこに意を沿うてのことかもしれません。こういうのは保守派好みの美談かもしれませんが、生死で境を分けるとは家特定の政治家の意向に添った報道には違いありません。