黙然日記(廃墟)

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産経記者がいかに腐っていようとも。

ビデオ流出 そもそも船長無罪放免がおかしかった - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/other/463047/

 14日付【安藤慶太が斬る】です。《いくら狂っているといっても現状、われわれは日本政府の運営を民主党政権に任せている》〔強調引用者〕。たとえばこの前に、「かくかくしかじかで、政権の羅針盤が狂っている」とでも書いてあれば、あまり問題はない表現です。いくらなんでも、そこだけ切り取って批判しようとは思いません。あまりにびっくりしたので、この文章の前後から「羅針盤」とか「判断」に当たる文言を一所懸命探したのですが、どうしても見つかりませんでした。つまり安藤記者は、なんの前提もなしに、民主党政権、その首脳である菅首相や仙谷官房長官らがそうである、と断定しているわけです。メディアが政権を批判するにしても、こんな表現があるでしょうか。「言論の自由は誹謗中傷の自由ではない」ということを、たまたま先ほど当ブログのコメント欄でも書いたのですが*1、言論に名を借りて誹謗中傷を振り回す者こそが、言論の自由の敵対者であることを、ここではっきり述べておきます。
 政府の最初の判断、ビデオを非公開にした判断が間違っていたのだ、という安藤記者の指摘は、いちおう耳を傾ける価値があります(別に安藤記者が発明した理屈ではありませんが)。この事件は様々な解釈が可能で、ビデオが機密事項とも言えるし既知のものだとも言えるし、機密漏洩とも言えるしそれが形式的な罪だとも言えるし、内部告発だとも言えるし既知であれば告発に値しないとも言えるし、実は論者が皆、わりと自説に都合のいい論理だけをつまみ食いしているような印象もあります。マスコミに登場する有識者からネットの有名・無名人(わたしも含む)、そして政府も、官邸と警察・検察と海保でまた立場の食い違いがありますが、いずれも論理のつまみ食いをしているところがあります。そうした認識の上で、立場を明らかにし、できれば誰もが納得するような説得力のある論理を組み立ててから(これが無理なわけですが)、他者を批判するべきところでしょう。もちろん、頭から《狂って》だなんだと決めつけるべきところではありません。
 昨日、阿比留記者が茶を沸かさせてくれた、事務次官会議の件にも、同じように論理をすり替えた上で言及されています。産経内部に、なんかのテンプレートでもあるのでしょうか。あるいは、安藤記者がそのテンプレの考案者なのでしょうかね。
 ところで今回の【安藤慶太が斬る】はむやみに長くて、しかもビデオ流出事件について全体の半分(普通ならこれだけでいっぱいの長さぐらい)、後半は同じぐらい延々と朝鮮学校無償化について書いているのですが、これ全部紙面に載った/載るんでしょうか。今の産経新聞のレイアウトだと、広告を除いて前面使ってしまいそうなぐらいあるんですけど。