黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経、英雄を望む。他。

「−わんこ」撮影、三宅島の島民サポート - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/entertainment/movie/461856/
 フジテレビ系「めざましテレビ」(月〜金曜前5・25)の人気コーナー「きょうのわんこ」に登場した犬を題材にした映画が製作されることが10日、分かった。東京・三宅島の噴火で離ればなれになった飼い主と犬の絆を描く感動作「ロック〜わんこのしま〜」(中江功監督、来夏公開)。

 サンスポの記事ですが、のうのうと《10日、分かった》とか《感動作》とか書いてますね。これはフジサンケイグループ珊瑚礁事件*1を起こした映画なんですが、島民の協力を得ていると強調したり、事件を忘れてもらうために必死のようです。

産経抄】11月11日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/461817/

海上保安官聴取 流出事件の本質見誤るな - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/461826/

 「産経抄」を、うっかり食事しながら読んでしまうところでした(ぎりぎりセーフ)。これから読む方はお気をつけください。海上保安官がたいへんな仕事であることはわかりますが、朝刊にこんなもの載せるなよ。
 ビデオ流出の実行者として名乗り出た海上保安官を、英雄にしたい、動機が義憤だったことにしたい、という意図がありありですが、はたしてそうなのでしょうか。上司に名乗り出る前に読売テレビの取材を受けていたこと、それは本人が周囲の人物に話しそこからテレビ局に通報されたらしいことなどを考え合わせると、売名行為という気がしてならないのですが。言い換えれば、彼は英雄になりたかった――流出させたのが事実であれ否であれ――ということでしょう。産経自身が、いろいろな意味で英雄を待望しているのだとしても、彼の思惑に安易に乗ってよいのかどうか、報道機関として慎重に考えるべき点だと思います。また、政局に利用してよいことなのかは、さらに慎重になるべきところです。

【正論】筑波大学大学院教授・古田博司 東アジア贖罪意識から目覚ませ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101111/plc1011110339004-n1.htm

 11日付「正論」は、筑波大学大学院教授にして産経「正論」メンバー(お笑い担当)の古田博司氏です。
 まず冒頭部の、《NHKが「なぜ中国が首脳会談を拒否してきたのでしょうか?」、でも幸いなことに「日中首相は10分間の懇談を行いました」と報道した》という部分。該当のNHK番組を見ていないし検証する手段もないのですが、古田氏が発言引用のルールをきちんと理解しており(産経オピニオン欄ではこれができない人をざらに見かけます)、内容の捏造もしていないと仮定して、いったいどこに問題があるのでしょうか。「なぜ拒否したのか」というのは当然の疑問だし、日本側で説明づけてもそれは推測にしか過ぎず、少なくともいきなり述べるような性質のものではありません。「10分間の懇談」は、客観的な事実そのものです。《幸いなことに》の部分を古田氏が勝手に補って、いかにも疑問を持たれる報道のような印象を与えているだけです。いったいどういうつもりでこの報道にクレームをつけているのか、なぜこれが《打たれ屋》の発生ということになるのか、まったくわかりません。仮に該当のNHK報道がそういうものなのだとしても、古田氏ら“保守派”に言わせれば対外的“土下座”はもう何十年も続いているので、いまさら《大量に生み出したのである》と言い出すのも、おかしな話です。
 って、この文章をこの調子で批判しているといくらでも続いてしまいます。《数千人規模で行われた日本民衆の反中国デモを無視し、軽視する》とか。たとえば「日教組の集会を右翼が妨害した」というのがニュースになるのは、社会的事件として伝えられるのであって、右翼の主張を伝えるためではありません。とか。
 現在、中国側が首脳会談を拒否しているのは困ったものですが(G20APECでどうなるか未確定ですが)、「こちらは話し合いをする用意がある、あちらが拒否しているだけだ」という姿勢を国際的にアピールするのは、たいへん意味のあることです。
 他にも、中国が留学生を便衣兵に使おうとしているとか、古田氏はしっかり役割を果たしているようですが、いやほんと、これぜんぶ計算でやってらっしゃるなら、すごい才能ですよね。