黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経、批判に必死だな。他。

民主、企業・団体献金の自粛を解除 「公約違反」批判必死 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/455973/

 民主党に対しては「なんだかなあ」と思うわけですが(政治資金規正法改正に非協力的な野党にももちろん問題はありますが)、必死になって批判している産経にも、「なぁんだかなあ〜〜」と思わざるを得ません。24時間近く経っても見出しの修正を忘れるぐらい必死なのですから*1

ならず者国家」? 新しい覇権国は好き勝手 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/456100/

 ひさしぶりに、【湯浅博の世界読解】から。もちろん、湯浅博・東京特派員はあいかわらずです。《「ならず者」が権力を握ると横暴な専制君主に》なる云々という歴史上のパターン認識は正しいでしょう。湯浅特派員がここで言う《ならず者国家》は、もちろん中国を指しています。しかし「覇権国家」というのがそもそも、軍事力などで国際的な権力を握り、好き勝手をする国家のことではないでしょうか。現在までの一極支配覇権国家を含めて、もとから「ならず者」ではなくても、覇権を得るとそうなってしまう、というのが、歴史から学ぶべき教訓なのです。
 《国際ルールを守らずに人民元を勝手に操作している》とか、おかしな認識が他にも目立ちます。人民元は米ドル・ユーロ・日本円などに対する通貨バスケット制を採用しており、為替レートが市場原理で自由に変わる変動相場制ではありません。少なくとも建前としては、自由な為替相場に政府が介入しているわけではないのです。もちろん、固定相場制や通貨バスケットを採用してはいけない、という国際ルールなど存在しません。世界第2位の経済大国がそれでいいのか、という批判はあるとしても、日本がその地位に就いたころも固定相場制(ドルペッグ制)でした(ただし、当時は各国が固定相場を採用していたという違いはありますが)。
 米ジョージワシントン大学のマイク・モチヅキ教授の考えが紹介されているので、少し長いですが引用します。

 新興の覇権国はまず、(1)自分の力を過大評価しがちになる(2)既存の国際秩序に不満を抱く(3)感情的な民族主義に傾斜する(4)国家的な損得勘定の分析ができなくなる−。こうなると危険水域である。

 これはまったく妥当な分析といえましょう。ところで湯浅特派員は、覇権国家に抑圧された周辺の国が無謀な挑戦をすることがあるとして、日本がアジア・太平洋戦争に乗り出したことを指摘しています。これは当時の覇権国家(具体的に書かれていませんが米英でしょう)に対する周辺国の反発と解釈しているようですが、当時の大日本帝国は、アジアにおける《新興の覇権国家》とみなした方が妥当なのではないでしょうか。ここで、上に引用したモチヅキ教授の指摘をもう一度読み返していただくようお願いします。おそらく日系人であり、アジア・太平洋地域の専門家であるモチヅキ教授が、大日本帝国を念頭に置かずにこうした発言をしているとは思えません。
 このお願いはもちろん、湯浅特派員に対しても、です。中国を批判することが悪いとは言いませんが、歴史をひもといて現在を解釈するなら、我が身を省みる公正な視点を失ってはならないでしょう。

産経抄】10月27日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/456008/

 中国批判にばかり熱心で、状況を見回す余裕を失っているのは、もちろん湯浅特派員に限らず、抄子も同じことです。いまだに反日デモが中国政府の支配下にあると思いこんでいるのはまだしも、根底にあるのが内陸部における貧富の格差への不満であることに気がつかず(産経の紙面にもそうした分析はいくらでも出ているのですが)、《安月給の彼らには、高い日本製のテレビや車はもともと手が届かない》などと書いて揶揄した気持ちになっているらしい無神経さは、ちょっと信じがたいものがあります。
 《心ある日本人が中国製品を買わなくなるだけの話》とか言ったって、どうやって? 日本メーカーブランドのテレビだってパソコンだって、中国製の部品を使わず中国で組み立てもしていない製品を探すのはほぼ不可能、というか、あるのかそんなの? ビビアン・スー氏は好きな歌手の一人ですが(ブラックビスケッツってもう10年以上前になるのか……)、彼女の涙が中国政府の姿勢を変えるかもという結論は、いったいどこから出てきたんでしょうか。それとも《女性》とは別の人なのかな。このへんもさっぱりわかりません。

*1:念のため魚拓も取ってみましたが、たぶん少なくとも数日はこのままでしょう