黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経、サル(笑)のような安倍氏を持ち上げる。他。

言論統制同然か? イスラム差別発言の米記者解雇めぐり波紋 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/455242/

 ひさしぶりに古森義久氏の25日付一般記事を取り上げてみます。公共放送NPRの記者がFOXテレビに出演したとき、イスラム教徒全般をテロリスト扱いするような発言をしたとして局から解雇され、これが波紋を呼んでいるというニュース。背景として、局が民主党寄りであり、解雇を非難しているのは共和党側が中心だという点ははっきりさせてはいます。
 さてこれは、単純に言論の自由の問題、この事件が言論統制にあたるかどうかという問題でしょうか。「差別発言(ヘイトスピーチ)の自由はあるか」という視点が、現代では重要になっています。ドイツ(西ドイツ)は戦後一貫して言論の自由を保障する自由主義陣営でしたが、ナチス礼賛とユダヤ人差別の発言だけは、厳しく規制されていました。現在はドイツに限らずヨーロッパ全体で、ヘイトスピーチへの規制が議論の対象になっています。わたし個人の考えとしては、ヘイトスピーチであっても発言そのものを法的に規制されることはない、ただし十分な社会的制裁は発言者が甘受するべきである、というところです(このへんの自分の感覚は、自由主義保守的なのではないかと思いますが)。これが絶対に正しいとはもちろん言いませんが、米国ならば広く受け入れられる基準ではないかと思います。NPRの記者に対する処分はまさにこうした社会的制裁にあたるもので、保守派の共和党がクレームをつけているのは、党派的理由からとしか思えません。
 最近日本でも、保守派が「多様性と寛容」という米国的な理念を強調する例をしばしば見かけるのですが、どの国でも先鋭化した“保守派”は、民族的・宗教的な非寛容に走りがちです。米国的理念を信奉し言論の自由と自己責任を重視しているはずの古森氏は、どちらの立場をアラブのでしょうか。

卑しさ見るに耐えぬ…安倍氏が仙谷氏を批判 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/455455/

(cache) 衆議院議員 安倍晋三 公式サイト
http://megalodon.jp/2010-1026-2225-48/www.s-abe.or.jp/

 なんでこう、安倍晋三氏という人は毎回面白いことを言ってくれ、産経はいちいちその面白い部分をピックアップして紹介してくれるのでしょうか。
 記事は《ブログ》としていて、見た目もそれっぽいのですが、実は単なるテキスト直書きなんですよね(ツール類はなにか使っているでしょうが)。これなら過去の発言を追求されることもないし、トラックバックなどで批判されることもありません。安倍事務所スタッフにはなかなか頭のいい人がいるようです。でもこうして、問題発言の存在を産経がいちいちバラしてくれて、魚拓を取られたりしてしまうんですね。
 政治家の公式サイトにおけるブログ(またはトピックス)というのは、国会発言ほどではなくてもメディアでの発言に匹敵する、公的な性格を持っています。《お馬鹿さんです》、《立ち居振る舞いの卑しさは見るに耐えません》、《まるで進退極まり、開き直ったサル(笑)のようで情けない》、《大恥かいていました》、《救い難い浅はかさです》、《これだけ愚劣な官房長官》、……。ほぼ一文ごとに現れるこうした表現の数々は、見るに耐えぬ卑しいものではないんでしょうか。特に、産経記事にはさすがに引用されていませんが、《サル(笑)》には愕然としました。これが、仮にも一国の首相を務めた人が、同じ国のナンバー2に向ける発言でしょうか。どうやら安倍氏としては使ってもいい表現のようなので、わたしも見出しに使ってみました。本来なら、自分のプライドにかけて絶対に口にしないような表現なんですが。
 《自分の子供のような若い記者達の失笑をかっていました》と記者会見の様子を見てきたように語っていますが、いったい誰に聞いたのでしょうか。内閣官房サイトで公開されている動画だけでは、記者の年齢層まではわからないはずです。
 ついでに、目についてしまったところにツッコまざるを得ません。このトピックの後半でいきなり、幕末の下田条約においては米国人の勝手な狩猟を禁じた、当時から日本人は環境保護を考えていたのだ、とか、寝ぼけた話題が出てきます。単にそれは「危ないから」「外国人に勝手に銃器を振り回されては困るから」じゃないんですか。さらに該当トピックのひとつ下を見ると、10月13日から夕刊フジでコラムの連載を始めたのだそうです*1安倍ちゃんに産経新聞社から定期的に資金供給が! *2

尖閣守る意思と覚悟が保守政党 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/455550/

 26日付「正論」は、稲田朋美代議士の登場です。安倍氏ほどではないにしても、国会代表質問の場で「言葉が汚い」と面と向かって首相に指摘された、あの稲田氏です。さすがに、仮にも新聞の紙面に載って後に残る文章で、「腰抜け」だのとは書いていませんが。
 代表質問でも法務委員会でも、あれだけ延々と独演会をやらかしたのに、まだ物足りないとみえて、船長釈放に関する政府の姿勢をここでも長々と責め立てています。途中から少し、そして結論部で、実は過去の自民党(の旧主流派)も悪い、我々“保守派”で集団的自衛権まで含めた対応策を提案するぞー、おー、というアジテーションで終わっています。
 後半で、外国人土地法の活用を言っている部分があるのですが、菅直人首相は15日の参院予算委員会で、この法律について前向きな発言をしています*3。今日、さらに踏み込んだ発言をしていましたが*4、それが間に合わなかったのはしかたないとしても、15日の質疑を無視するのはいかがなものでしょうか。
 どうも全体に、対立する他社への攻撃とアジテーションだけが目立つ内容でしたが、まあ稲田氏ですからね。

*1:安倍晋三の突破する政治】「場当たり」「小手先」「友愛」など通用しない - ZAKZAK http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20101013/plt1010131751002-n1.htm 。コラムというよりインタビューですね。

*2:夕刊フジの政治家コラムは、以前は麻生太郎氏や小沢一郎氏も書いていましたが。産経から小沢氏に資金供給が! 

*3: http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/451696/

*4: http://www.asahi.com/politics/update/1026/TKY201010260182.html 、産経はなぜか報じていません。