黙然日記(廃墟)

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産経に(イグ)ノーベルブーメラン賞を。

産経抄】 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/449386/

 10月9日付です。8日18時過ぎ(日本時間)に発表されてこの反応は、産経抄としては異例の早さですね。
 今年のノーベル平和賞劉暁波氏に授賞されたのは、もちろん中国政府の人権弾圧に対する批判を意図したものではありますが、なによりも劉氏の、人権や自由といった価値観を正しいと信じる(これを「正義」と呼んでもかまいません)姿勢と、逮捕を覚悟した言論への勇気、そして予想どおりの投獄にも負けない不屈の闘志に対してのものです。劉氏への賛辞はいくら重ねても尽くせませんが、この産経抄にその片鱗でもあるでしょうか。あるのはただ、中国共産党政権への批判、それも人権抑圧と直接関係ない靖国参拝批判がどーのこーのという代物です。ノーベル賞委員会は、中国の靖国批判への反発に対して、勇気を持って平和賞を授けたわけではありません。

劉氏ノーベル賞 国際世論が迫った民主化 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/449385/

 《他からの批判を許容しない政治体制》という分限から始まる、9日付「主張」です。言うまでもなく、「中国や北朝鮮の政治体制が理想」と揶揄される産経への巨大ブーメランになっています。紙幅がある分、「産経抄」に比べると劉氏の業績にわずかでも触れている点は、ましではあります。しかしやはり、中国政府への批判が主軸になっていることには違いありません。
 しかし、昨年のバラク・オバマ米大統領への、核廃絶へのオスロ演説を評価した授賞に比べて、今回はずいぶんノーベル賞委員会を持ち上げますね。オバマ氏への授賞は時期尚早という意味で批判されるべき点があり、今回はまさにベストタイミングであるという差はあれど、手のひらがえしが極端ではないでしょうか。
 産経の論調がずっとそうなのですが、1989年のダライ・ラマ14世師の平和賞受賞には触れても、中国関係の受賞者として、天安門事件後にフランスへ亡命して仏国籍を取得後の2000年にノーベル文学賞を受賞した高行健氏を無視しているところと、劉氏は中国国籍所有者として初のノーベル賞受賞者であることに触れていないところが、面白いですね。