黙然日記(廃墟)

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産経抄の世襲批判。

産経抄】9月29日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/445475/

 《物のはじまりが一ならば、国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島、泥棒の始まりが石川の五右衛門なら、助平の始まりがこのオジサン……》というのは寅さんの口上ですが、(東アジアにおける)世襲の始まりは、夏王朝の初代禹王の跡を啓王が継いだこととされています。(伝説上の)それまでの君主は、優秀な後継者を指名する禅譲によって代替わりしていました。同じように禅譲を受け、偉大な事績を残した禹は、自らの後継者として宰相に当たる人物を指名していた(ことになっている)のですが、周囲の人々は禹の子である啓が最適任として推戴されたことになっています。ここで世襲が当然のように思われるようになり、さらにその子の太康が継ぎました。世襲というのはこうして始まるもので、朝鮮金王朝*1も中国夏王朝をなぞろうとしているのではないかと思いますが、三代目の太康は暗君であったとされています。ちなみにこのへんの出来事を記した四書五経では、周囲の推薦を踏まえた禅譲が正しいとされ、世襲は本来よろしくない、というしそうが示されています。なおここまでは、「産経抄」と直接関係ない豆知識です。
 で「産経抄」ですが、例によって、思いついたことをだらだら書いているだけですね(今わたしもやってしまいましたが)。「大将」は、それこそ寅さんではありませんが、ちょっと昔まで生きていた言葉です。戦後生まれの自衛官がそれを知らないとするのは、あまりにも人を小馬鹿にしすぎでしょう。あるいはもしかして、「平成生まれ」が最高で二十歳を過ぎていることに気づいていないのと同じく、「戦後生まれ」が六十代半ばに達していることに、気づいていないのでしょうか。
 朝鮮金王朝についての批判はけっこうなのですが、産経新聞の立場としてはどうなんですかね。かしこきあたりについては触れないとしても、近年の日本国内閣総理大臣世襲政治家でないのは、菅直人氏と、その前は村山富市氏にまで遡ることになります。

*1:満洲女真金王朝が存在するので区別のため。(10/1追記:正確には「金氏朝鮮王朝」か「北朝鮮王朝」とするべきでしたね。)