黙然日記(廃墟)

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産経抄の十年遅れ。

産経抄】9月26日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100926/plc1009260307003-n1.htm

 《平成生まれのみなさんへ》で始まる語りかけ口調ですが、どう見ても小学生、せいぜい中学生に向けた文章です。こういう内容を小中学生に読ませたくはありませんが。で、抄子は今が何年だと思っていますかね? 選挙権持ってる大人にこういう口調で話しかけますかね? 「西暦しか使わないから今年が平成何年か忘れた」という人はけっこういますが、むりやりにでも元号を使いたがる産経の記者なら、さすがにそんなことはないでしょう。いや、“荒れる成人式”で毎回「いまどきの若者は」とやらかすので、日教組支配の戦後教育を受けた平成生まれは幼児並みに扱うべきだと思っているのかもしれませんが。いずれにしろ、平成生まれの諸氏は怒っていいと思います(こんな加齢臭のするブログを読んでいる方がいるのかどうかわかりませんけれど)。
 日中国交回復から今回の事件までを概観しているつもりらしいですが、まず、《長かったいくさが終わって》と前置きしているのが、なにを指しているのかわかりません。日中戦争第二次世界大戦)のことだとしか思えませんが、あるいは朝鮮戦争まで含むにしても、日中国交回復まで20〜30年のタイムラグがあります。もちろん、冷戦終結のことではないでしょう。いったいどういう歴史認識をしているのか(解釈レベルではなく物理的な事実関係のレベルで)、あるいはどういう現実認識をしているのか、と思います。
 《こんな愛くるしい動物のいる国》を、そのまま尊敬したということもありません。ふつうにいっておかしいので、可愛らしい珍獣を「プレゼントしてくれた」ことには感謝しても、「たまたま珍獣が住んでいる」から人間も優しい、などと考えるはずがありません。もしかしたら抄子は当時一人だけ、そういう勘違いをしていたんでしょうか。
 同じように、中華人民共和国尖閣諸島の領有権を主張し始めた時期を、首相の靖国参拝への抗議を始めたのと同時期(1980年前後)、訒小平時代で、天安門事件(1989年)の前としていますが、明確に主張し始めたのは1990年代に入ってからで、それ以前はむしろ中華民国(台湾)との間の問題でした。台湾が主張する領土はそのまま中国も領土と主張するものなので、中国の主張に《びっくりしました》というほどのことではなかったはずです。当時から右翼団体は騒いでいたようなので、右翼団体の視点からなのかもしれませんが。
 教科書改善の会による扶桑社(育鵬社)歴史教科書は、現在中学校向けのものですが、小学校版が作られたら、きっとこんな感じになるのでしょう。こうしてわけのわからない歴史認識を押しつける人たちが作っているんだなあ、と思わざるを得ません。ていうか、子供のうちに洗脳するという目的が、このコラム1本で明確になってしまいましたね。元号使用を推奨しながら年齢の計算もできない知能の持ち主がやるとこうなる、という意味でも。