黙然日記(廃墟)

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産経、見出しを工夫する。他。

産経抄】9月16日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/440615/

 武者小路実篤は小説家で、例の色紙も文人画という余技の領域です。頼まれたって政治家の似顔絵なんか描きゃしないでしょう。似顔絵というのは肖像画ともマンガ絵とも違う、独特のスキルが必要とされるもので、そもそも実篤が描けるのか疑問です(わたしが知らないだけで描いているのかもしれませんが)。
 「挙党態勢」の解釈が菅派と小沢派で食い違っている、と決めつけて、どう違うのかという説明をまともにできていません。この言葉が「反主流派も政権で起用する」を意味することぐらい、政治家や政治記者なら常識以前でしょう。それを認めない主流派議員がいたら、その人は「挙党態勢」に賛成していないので、最初の前提と食い違います。文章を書いていて、このぐらいの矛盾にも気づかないのでしょうか。

小沢一郎」はなぜ負けたか 無駄な権力闘争 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/440769/

 乾正人政治部長による、民主党代表選総括のようなコラムです。コラムですから(それとわかるような見出しは付いていませんが)、乾記者の主観的な部分についてはスルーしておきます。しかしまず、《無駄な権力闘争》を6月の鳩山由紀夫前首相辞任から数え始めるのは、おかしくありませんか。少なくとも7月の参院選までは、そんな話にはなっていませんでした。権力闘争で言えば、かつての自民党の派閥抗争はこんなものじゃなかったと記憶しています。ボリビア大統領の訪日が中止になったことと、その重要性があまり知られていない、というのは良い指摘だと思いますが、これを批判に含めたいために「前首相辞任以来」という区切りを持ち出したとしか思えません。
 《民主党員・サポーターの圧倒的多数が、小沢氏より菅首相を選んだ》というのは、これは本気で書いているのか、上の例と同じようにためにする詭弁なのか、判断に苦しみます。249ポイント対51ポイントという大差は小選挙区単位の結果で、得票数は約13万8千票対約9万票でした。国会議員票ほどの僅差ではありませんが、《圧倒的多数》でもありません。得票数がわずかな差でも結果は総取り状態になるのが小選挙区制度の特徴であることを、まさか新聞の政治部長が知らないはずはないでしょう。
 後半では小沢氏の《非寛容さ》をしつこく指摘しています。しかしこの表現が適切なのか、たいへん疑問です。独断専行的な手法が多いことは確かですが、それを「非寛容」と表現するのは、どうもしっくり来ません。「非寛容」というなら、「脱小沢」を人事面で明確にしていた(現在進行中の内閣改造でもその傾向が続いている)菅直人首相にこそ当てはまるのではないでしょうか。どっちが良い悪いというわたしの判断ではなく、乾記者の表現が適切かどうかという問題です。小沢氏のメディア対応に《批判的な小紙などには、はなも引っかけない(当方は痛くもかゆくもないが)》と言っているのは、ある種のギャグのつもりかもしれませんが、《笑い(嘲笑ではあるが)》を呼び起こすのみです。

「オウムの学校だったら適用されない」 朝鮮学校無償化で安倍氏 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/440989/

 これは、普通の新聞なら「安倍晋三氏が馬鹿げた暴言」という意味で記事にするのでしょうが、産経の場合は「よくぞ言ってくれた、さすが俺たちの安倍ちゃん」ってつもりなんでしょうね……。ていうか現時点で、産経しか報じていないわけですが。
 ていうか安倍氏は、2009年に幸福の科学学園高校を創設した幸福の科学に喧嘩売ってるんですかね。“保守”再結集には同年に創設された幸福実現党の合流も視野に入れねばならないと思うのですが。*1

産経、見出しを工夫する。

女子高生の下半身盗撮 民主党会派所属の市議逮捕 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/440562/

 15日付の一般記事。事実だとしたら(本人は否認)卑劣きわまりない犯罪ですが、なんで見出しに所属会派を書く必要があるんでしょうか。

33歳市議、視察途中に盗撮容疑「覚えてない」 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100916-OYT1T00402.htm

市議会議員が女子高生盗撮 消去データ復元で逮捕 〔テレビ朝日
http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/200916002.html

 なぜか他の報道があまりないのですが、いずれも所属会派は報じていません。容疑者のプロフィールの一部であり、たとえば《昨年12月の市議補選で初当選》(読売記事より)あたりと同レベルの情報です。報じてもおかしくはありませんが、報じなくてもいいというレベルの情報ですよね。政治家としての活動ではなく*2、個人の問題ですから、政治的スタンスが問われるわけでもありません。

韓国・富川国際漫画フェス 鳥取市出身、谷口ジローさんに海外作家賞 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/books/art/440723/

 16日付の、どうでもいいような情報を見出しにした記事をもうひとつ。鳥取県版あるいは山陰版のローカル面記事なのかもしれませんが(他に、ちばてつや氏と水木しげる氏の名前が出ていますが、水木氏だけ《境港市出身》と書かれています)、電子版は全国・全世界に発信されているのですから、すこし考えてほしいものです。そもそも、山陰版だけに載せるニュースじゃないだろうし。

*1:あんまり関係ないですが、keyword:大川隆法が一時期編集合戦状態になっていました。編集履歴を見られる方は見てみると面白いかと。わたしがこのキーワードを立ち上げたときは、アニメカテゴリにしようかと一瞬考えていました(笑)。

*2:市議は、視察に向かう途中だったとも主張していますから、公務中の事件ということにはなります。しかし、帰り道ならまだしも、平日の午前中で視察先へ赴く途中に、なぜ記憶をなくすほど飲酒していたのでしょうか。主張が事実なら、この点で政治家としての資格が問われます。