黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経抄の愚劣さ。他。

産経抄】9月15日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/440214/

 陶淵明『帰去来の辞』、「帰りなんいざ、田園将に蕪れなんとす……」を踏まえたと思われる、江藤淳氏の文章が冒頭に“引用”されています。だぁからよぉ。引用なら引用とわかるようにしとけっつーのよ。範囲を明確にしない引用は盗用と指摘されても、言い訳できないところですよ。
 それにしても、江藤氏のこの一文が産経オピニオン欄にはよく引用されると思ったら、いつのまにか便乗出版された本の題名にまでしていたんですか。

小沢君、水沢へ帰りたまえ <産経新聞社の本 +SANKEI BOOKS+>
http://www.sankei-books.co.jp/books/title/9784819110983.html
ISBN:9784819110983
発行日:平成22年4月12日
〔前略〕〔民主党政権の〕そんな時代の閉塞感を10年以上前に予言した人物がいた。今はなき辛口評論家・江藤淳。平成11年9月、その遺作として発刊され大反響を呼んだ政治評論集「月に一度」(発行・産経新聞出版、発売・扶桑社、絶版)の中から、まるで現在の政治状況にあてて書かれたかのような珠玉のコラム40編を厳選し、今改めて世に問う。〔後略〕

 産経新聞なんかにコラムを連載したのは江藤氏がうかつだったのかもしれませんが、まさか、10年以上経ってから政権叩きに利用されるとは思ってもいなかったことでしょう。元のコラムの題名が「帰りなん、いざ−小沢一郎君に与う」と、冒頭にも書いたように誰でも陶淵明の名文を想起できる味わい深いものなのに、このフレーズだけ抜き出して題名にするという醜悪なセンスは、いやらしさという以上に卑劣すら感じさせます。

暴行、監禁…それでも「しつけ」?次男トイレ監禁判決に専門家ら疑問の声 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/440546/

 15日の一般記事。判決が不適当だという記事の主旨も、《助けを求めないこと自体が虐待の深刻さを物語って》いるという専門家の意見も、まったくその通りだとわたしは思います。それと同時に、産経新聞がどの口で言うか、とも思います。論説欄と違い、社会面には虐待問題に真剣に取り組んだ良い記事がいくつもあることは承知の上で、なおそう指摘せざるを得ません。あと、見出しが《専門家ら》と複数形になっているのが謎ですが、これはいずれにしろ産経なのでしかたないでしょう。