産経「主張」にこぼれる笑み。
日韓併合100年 「ご用聞き」外交の罪深さ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/433498/
日韓併合100年 協調と競争の未来へ向けて : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100828-OYT1T00926.htm
やや意外だったのですが、在京六紙のうち今日29日の社説で日韓併合百年を取り上げたのは、読売と産経だけでした。「読売と産経だけが取り上げる問題」というのはたまにあるのですが。そして、これは意外というより驚愕に近い感情を味わったのですが、読売の社説は涙が出るほどまともな内容でした*1。ええと、なにかの理由で一食とか三食抜いたあと、塩だけのおにぎりとか「ふつうのご飯と味噌汁とおかず」とかを食べると、思わず涙が出るほど旨いと感じるものなのですが、そんな感じの涙です。
それに対して産経は……。これはやはり思わず、笑いがこぼれてしまうところです。苦笑とも脱力感ともシニシズムとも違う、なんでしょうねこれは。嘲笑の要素を含むのは確かですが。
この産経「主張」によると、菅談話発表前に民主党議員が訪韓するなどして韓国側の要望を受け、それに添う形の談話となったのだそうです。おかしいなあ。菅談話発表から半月以上、そんな話があるのならとっくに出ていたと思うのですが。また、その要望とは「韓国人の意に反した併合」「文化財返還」の2点で、「条約はそもそも無効」という論については、この「要望」には挙げられていません*2。無効論の要望がなかったとしたらちょっと違和感のある話ですし、要望されたにもかかわらず談話に含まれなかったのなら、少なくとも韓国側の言いなりになった談話ということにはなりません。こうした姿勢を「「ご用聞き」外交」と名付けて非難しているわけですが、外交に限らずなんでも他者との関係で、相手の要望を調べもせずに善意の押しつけをする政治があるでしょうか。たとえば、といってたとえになっているかわかりませんが、日本がロシアに求めているのは北方四島の返還であって、たとえ善意からでもいきなり南樺太を返還されたら、戸惑うだけです。相手の話はよく聞くべきです。ねえ産経さん。あと、手続き論についてはばかばかしすぎて苦笑も浮かびません。
韓国の一部国会議員が騒いでいるからどうのこうの、という話も出てきますが、それとまったく同じようなことを、韓国側の普通の人もずいぶんいいたいんじゃないでしょうかねえ。「騒いでいるのは一部のアレな議員たち」といちいち釈明しなければならないのは、お互いにとって不幸な話です。