黙然日記(廃墟)

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産経抄、勝負する。他。

産経抄】8月22日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/100822/acd1008220334000-n1.htm

 藤岡信勝氏による18日付「正論」*1を持ち出してきています。もちろん肩書詐称を謝罪する内容ではありませんが、考えてみると、いかに恥を三日で忘れる「産経抄」といえど、自紙の「正論」欄を直接持ち出して褒めちぎるのは珍しいですね。最近、藤岡氏が紙面に登場する機会も多いように思うのですが、新・つくる会と産経側は和解したのかしらん。
 本題としては、菅談話をはじめとする歴史認識の論争を囲碁感想戦にたとえているのですが、こんな的はずれの比喩もないですね。勝負の世界で、いかにすれば勝てるかを研究するために感想戦が行われるわけですが、歴史認識は「勝負」ではありません。歴史の上で勝者と敗者は存在するでしょうが、歴史認識で勝った負けたって、いったい何の話ですか? 

携帯ゲーム依存 実体験の豊かさ伝えたい - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/430870/

 はいはい。思い起こせばファミコン登場が1983年、ゲーム&ウォッチが1980年、思わず遠い目をしてしまいますが、2010年8月22日付産経新聞「主張」は、この30年間まったく進歩していないことをわざわざカミングアウトしています。
 「大人向けの恋愛ゲームをする子もいる」ってのは、小学生がエロゲをやっているかのようにミスリードしたいんでしょうか。いいじゃねえか、中学2年生が『ラブプラス』やったって。ああいうのの源流は少年誌のラブコメマンガなんだし、ラブコメってのは中二病をテーマにしたジャンル作品なんですよ*2。「友達と遊ぶ機会が減り」ってのは、今のゲームに関する無知をもろに露呈していますねぇ。我々の世代の子供時代と直接比較するとわけがわからなくなるのかもしれませんが、通信対戦してゲームキャラクターをWi-Fiで交換するのと、ライダーカードでメンコ遊びして取り合いするのと、なにが違うんでしょうか*3。それではコミュニケーション能力が養われない、とかいいながら、携帯電話のゲームサイトでのコミュニケーションで犯罪に巻き込まれる危険が、とか。どっちやねん。犯罪への警戒はもちろん必須ですが、ゲームをとにかく悪者にしようと考えているようにしか見えません。
 なんにしても驚くのは、繰り返しますが、いまどきこんな認識を堂々と開陳するセンスです。産経文化人や政治家の間で議論をループさせているうちにこんな極論に達してしまうのかもしれません。狭い論説委員室に閉じこもらないで、もっと世間に触れ、コミュニケーション能力を養ってほしいものです。

*1: d:id:pr3:20100818:1282143893 などご参考に。

*2:中二病」は、ネットでは「幼稚さ」の言い換えとして使われる傾向がありますが、もともとの定義では「思春期の少年における自意識過剰」といった意味合いでした。

*3:今の「ライダーカード」って、メンコ遊びできないんだな、とかふと。