産経「主張」、浮く。他。

菅首相談話　将来への禍根を憂う産経　他紙は「共感」、「妥当」も - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/other/428600/

　16日付、鳥海美朗論説委員による【社説検証】です。まあ、タイトルがすべてを物語っていますね。「産経はこんな問題も取り上げた、あんな問題も指摘している、なのに他紙はスルーしている（または読売と日経だけほんのちょっと触れてくれた）、これはいったいどういうことか。オレの話を聞けぇ〜〜！！」ということでしょうか。なお他紙では、毎日新聞「社説」がときおり「論調観測」と題して同じように各紙の社説などを比較検証していますが、8月16日付は「原爆投下65年」に関する論調を紹介するもので*1、菅談話に関する論調の相違自体に関心がないというか、相違があること自体に気づいていないかもしれません。

【産経抄】８月１７日 - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/428867/

　なんかこう、もやぁっとするんですが、問題のドラマ『歸國』を観ていないし、第三者の要約によって内容に言及すると*2箇条書きマジックみたいなことになってしまうので、控えておきます。
　「政府のばらまき政策にもかかわらず、景気回復の実感はない」と、こんなときにまで民主党批判しないと気が済まないのはいつものように「産経抄」ならではの芸風として、“英霊”のことを忘れたから不況になっているのだ、と言わんばかりに続けるのは、こじつけもいいところでしょう。昭和元禄とか平成バブルと呼ばれた時代にも「あの戦争を忘れたのか」という警句はしばしば見受けられましたし、戦死者への哀しみが経済発展をもたらしたという岸田秀氏の指摘も、根本からねじ曲げているとしか思えません。

ＧＤＰ急減速　「バラマキ」の限界みせた - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/428868/

　で、17日「主張」も、バラマキが不況を解決していないぞ、という文句です。子ども手当の支給開始は6月でしたから、4-6月統計に与える影響は限定的なのではないですか。産経「主張」が景気における個人消費の動向を重視しているのは奇観というべきで、政権というか子ども手当を批判したい固めに持ち出しているようにしか見えません。GDPの6割を占めるという個人消費をそんなに重視しているなら、それを引き上げるための提案を、産経はいままで一度でもしたことがあるんでしょうか。

*1:社説：論調観測　原爆投下６５年　「謝罪」自問続ける米国 - 毎日ｊｐ(毎日新聞) http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100816k0000m070087000c.html?inb=ra 、ただし米国メディアの論調のみ。

*2:ものすごくどうでもいいんですが、「ようやく内容が出てきたが、要約したものはないようだ」とか、それぞれ連動して現れることが多いこの二組の同音異義語は、辞書の学習機能にも頼りにくいので、気をつけねばなりませんね。