「産経抄」「主張」、血相を変える。
【産経抄】８月１１日 - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/426653/
愚にもつかぬ談話を出した首相に、いまさら何を言っても無駄だ
愚にもつかぬコラムを書いた抄子に、いまさら何を言っても無駄なのですが、それにしてもこれはひどい。「安倍晋三・福田康夫・麻生太郎各氏の歴代自民党首相が靖国神社に公式参拝していれば自民党は勝てたはず」というのは、乾正人政治部長一人の妄想めいた思いつきではなくて、産経の社論と考えていいのでしょうね。そういうことをすれば“保守票”の掘り起こしになると信じているようで、たしかに保守票は日本の有権者全体の半数を大きく超える割合を占めていると思われますから、それを糾合できれば政権は盤石でしょう。ただし、靖国参拝で得られるのは、あくまでも“右翼”の票です（“真正保守”でも“愛国保守”略して（ｒｙでもいいのですが）。保守全体ではありません。というか、保守と関係ないところの票です。「保守」を僭称しているうちに、名前と実態の区別ができなくなってしまっているのでしょうね。
「小人閑居して不善を為す」とはまことによく言ったもので、中国古来の知恵はおそるべきものがあります。仮にも自国の内閣総理大臣をつかまえて「小人」、その仕事を「閑居」、学会も含めて国民の多くが認めている歴史解釈の表明を「不善」と、エクスキューズ一切抜きで決めつける抄子が、どれだけ器の小さいヒマ人でろくでもないものばかり書いているかを、自ら示しているようなものです。
日韓併合１００年 禍根残す菅談話に反対だ - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/426231/
これは10日付、昨日後回しにした「主張」です。菅談話発表決定を受けて、まだ中身が明らかにされていないのに猛反対を唱える、珍妙な論説です。谷垣禎一自民党総裁と、超党派（といっても大半は自民党）の議員連盟である創生「日本」の安倍晋三会長が発表した抗議表明をそれぞれ引用言及していますが、最大野党の総裁が示した反対意見はともかく、単なる一議連の表明に、それほどの意味があるのでしょうか。産経自身が思いこんでいる価値観によれば安倍閣下の発言は片言隻句といえど聞き逃すべきではないのかもしれませんが、世間では別にそんな風には思われていません。だんだんカルト化が進行しているようで、たいへん心配です（棒読み）。
日韓併合１００年 「自虐」談話は歴史歪める - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/426655/
実際の談話発表を受けた11日付は、2本分のスペースで昨日と同じような話を繰り返しています。同じような話を同じような見出しで連日配信したためか、本来は昨日付で掲載された「主張」の1本を今日もまたダブって配信しそのミスに夕方まで気づかなかったという混迷ぶりです*1。
「必要なはずの国民的な合意づくりも一切、欠落していた」というのは、具体的になにを求めているのでしょうか。国民投票ですか。「首相談話」という形式なのですから、本来なら必要なのは首相の判断だけです。たまたま節目の年にリベラル派とされる村山富市氏や菅直人氏が首相の座にあったからこんな談話が出てしまったんだ、と言わんばかりですが、タカ派と見ていい小泉純一郎氏が首相当時に出した戦後六十年談話（小泉談話）は、なぜ村山談話を踏襲したのでしょうか。安倍晋三首相や麻生太郎首相は、なぜなにかの機会を作って*2、産経好みの独自の歴史観に基づく談話を発表できた可能性はあったのではないでしょうか。しかし、少なくとも小泉氏は、そういう判断はしなかったわけです。それをすると、歴史認識が完全に政争の材料になってしまうことを厭ったのでしょう。さらにいえば、正面からの論争になれば産経史観に勝ち目がないことは、学会でも裁判所でもおおむね明らかになっていて、政治の場だけ勝てるというのが妄想でしかないことを理解していたのだと思います。
ところでふと思い出したのですが、しばらく前まで産経やらは、「菅談話に日韓併合条約の無効論が含まれたらどうする」と騒いでいましたが*3、お望み通りそんなことにはなりませんでした。この点に関して、なにかコメントはないのでしょうか。
