「産経抄」「主張」、そろって飛躍する。他。
【産経抄】８月４日 - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/423887/
3の倍数の日でもないのに、すっかりアレになってますね。
菅直人首相がかつて、ラジオ番組で『君が代』を歌った歌わないに関しては、 d:id:pr3:20100610:1276182378 で言及していたなあ、というのをたまたま思い出したので、あまり参考にはなりませんがリンクしておきます。国会答弁でそこまでムキになるのもどうかと思うわけですが、『君が代』を歌うことと全般的に国益を考えることは、もちろんまったくのイコールではありませんし、もちろん日韓併合百年の談話がどうとかいう話にもなりません。まあ、このへんの論理の飛躍がいつものとおり、「産経抄」が（一部の人に）愛されている理由なのですが。
国益を考えない政治家が、本当にいるでしょうか。いやまあ、直接的な利権に目がくらんで天下国家のことをなにも考えなくなってしまったようなのは確かに存在しますが、もうちょっと理念的な部分に関する議論をしながら、まったく国家のためにならない、あるいは外国の利益にしかならないとわかっていて行動する政治家が、少なくとも今の日本にそんなに存在するものでしょうか？ 「日本を共産国家にしよう」と本気で思っている（いた）政治家だって、それが国民全体が平等に利益を得る道だと思うがゆえではないのでしょうか。その判断が正しいかどうかはとりあえず別の話であって、「その政治家が国益を考えているかどうか」だけの話です。外国の利益になることをしたら、それはそのまま日本が損をすることになるというのも、あまりに幼稚な短絡です。米国の東アジア軍事戦略に協力することが日本の国益になるかどうか、これも別に検討する必要がありますが、少なくとも産経は、米国への協力が日本の国益になるという立場だったはずなのですから、外国の利益を否定する理由にはなりません。
頭を下げることが自動的に損を意味するという、これも幼稚な発想には、産経新聞発祥の地である大阪に伝わるこの言葉を贈りましょう。「損して得取れ」。
広島平和宣言 核の傘離脱は無謀な提言 - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/423954/
4日付「主張」。こちらも、すっかりアレですね。核廃絶への気運がかつてないほど高まっている現在（デタント時代のことを調べもせずに言っていますが）、核兵器の恐怖とその廃絶を訴える世界で最も重要な式典であろうと思われる広島・長崎の平和祈念式典は、例年以上に注目されています。国連事務総長と米英仏代表が参席するのも、「今」というタイミングだからでしょう。また日本国内でも、昨年8月末に政権交代が確定してから初めての平和祈念式典であり、1年弱の間にいろいろ（それはもういろいろ）あったものの、政権交代時の約束である日米軍事同盟の見直し、対等な関係の構築に、いちおうの期待が示されるのは当然です。北朝鮮の哨戒艇撃沈事件はともかく、中国が軍事演習をするだけで脅威だとわめき立てることは、先日の米韓合同演習に対する北朝鮮の非難も肯定してしまう論理なんですが、気がついているのでしょうか。通常兵器による演習に対して「依然、米国の核の傘を必要としている」と飛躍するのは、「産経抄」ならネタで済みますが、社説として通用するレベルの論説ではないでしょう。
しまいにゃ、民主党政権が在日米軍維持で押し切られた「流れ」に、平和宣言は逆行しているとかなんとか。世界的な「流れに逆行」しているのは、どちらなのでしょうか。
民主党代表選 外国人の投票参加見直せ - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/423955/
これも4日付「主張」、同じようにアレなので、いちおう並べておきます。はいはい日本解体日本解体。
自民党紀委が中山、水野両氏を除名 ２人とも参院選で他党から出馬 - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/424028/
一般記事というか、産経とは直接は関係ないのですが。先の参院選で他党から立候補した中山成彬氏（と水野賢一氏）が自民党を除名されたという、まあ結果そのものはどうでもいいニュースなんですが、まだ除名してなかったのかよと。しかも、中山氏に同調した夫人の中山恭子氏と中山氏と同じくたちあがれ日本から立候補した片山虎之助氏（および新党改革から出た萩原誠司氏）は、除名ではなく離党を認めるという寛大な処分です。こんな調子じゃ、安倍ちゃんが党内党を作って分派活動をしていても、なんのおとがめもあるわきゃないですね。
