黙然日記(廃墟)

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産経抄の表舞台観。他。

産経抄】7月24日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/419614/

 石井好子氏の追悼かと思ったら、父親の石井光次郎を褒め称える内容でした。それはまあいいのです。最後に民主党の政治家をあげつらっているのも、政権政党への批判ですから問題ありません。民主党が野党だったとしても同じことを書いていそうですが。しかし、退陣したはずの元首相が裏でなにやら画策していることを批判するなら、自民党と別に勝手に創生「日本」を作り他党と選挙協力まで結んだ安倍晋三氏に比べたら、鳩山由紀夫氏の「画策」なんて、スケールが小さすぎだと思うのですが。あと、前例もあるのに民間人が法相を務めてなにか問題あるのでしょうか。
 総理になる欲がない現代の政治家といえば、実は、小沢一郎氏がいます。「産経抄」あるいは「主張」が石井光次郎だけを絶賛して、小沢一郎氏をそうした面から評価しないのは、なぜなんでしょうね。去年5月の段階で、当時の小沢代表に関する資金疑惑が持ち上がっていたとはいえ、政権交代圧力はそれ以上に高まっていたので、小沢代表のまま総選挙に突入しても七分三分の確率で小沢総理が実現していたでしょう。そこをあえて引いて政権交代を確実なものにした手腕そのものは、客観的に評価されてもいいのではないかと思います。1年後の今年6月、まるで同じ手法を使ったときには、もう通用しなかったわけですが。
 思えば小沢氏ほど、最高権力者になるチャンスを自ら潰してきた政治家はいないでしょう。しかしそれは、欲がないということではありません。「思うがままに他人を操る欲」はおそらく人一倍強いのでしょうが(金銭欲が強いかのように言われ、産経などは主にその点で叩きますが、これも支配欲の一部だろうと思います)、「(表向きの)権力を持つ欲」は、ゼロとは言いませんがほとんどないのでしょう。人間心理としては理解できるものですが、どうも小沢氏に対するこうした評価、あるいはこうした人物類型に当てはめての評価を見かけません。たまに「闇将軍の座を狙っている」と(これも産経政治部の各記者に)よく言われますが、これはネガティブな表現であると同時に、「表舞台に出られなくなったから」という前置きがついているようです。そういうことではなく、表舞台でスポットライトを浴びることには最初から興味がないというのは、そんなに理解しがたい心情なのでしょうかね。そう捉えるのは、高校のとき演劇部に入って「演出志望で舞台に立つ気はありません」と言いながら2週間で退部した(笑)わたしだけでしょうか*1

小沢氏再聴取へ 形式捜査は検察不信増す - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/419621/

 というわけで24日付「主張」は、小沢氏の資金疑惑関連に、輿石東氏の支持団体叩きという、たいへんわかりやすいテーマが並びました。まずは小沢氏の件から。
 上記に続けてこういうことを言うと小沢信者扱いされるのでしょうが*2、仮になにか一つ悪いことをした人間が他の疑いをかけられたとき、「一つやってんだから他にも悪いことをしているだろう」と決めつけず、警察・検察を常に疑ってかかるのは、少なくとも冤罪阻止を考える人間ならば、当たり前の判断基準ではないでしょうか(今回の聴取は検察審査会の決定を受けてのことなので、チェック機能が働いているとは言えますが)。もちろん、産経「主張」に当たり前なんか期待していません。聴取決定だけで有罪が確定したかのような高飛車っぷりはすごいものです。検察がゼネコンの家宅捜索まで行ったのに起訴しなかったのは「いったいどうなっているのか」とか言われても、「そりゃ証拠が出てこなかったんじゃねぇの?」としか言いようがありません。いくら検察の姿勢を疑うにしても、公判を維持できるだけの証拠がなければどうしようもないのは、法治国家として当たり前です。この当たり前が通用しない当たりが、実に「主張」らしい味わいですね。

山梨県教組 国揺らぐ「違法行為」放置 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/419613/

 こう言ってはなんですが、たかが県単位の職能労組がなにかして、それで揺らぐような国なら、そっちの方がよほど問題です。“オール保守の大同団結”が最重要選挙区と位置づけ、自民党中央も無視して決戦を挑んだ選挙でも、輿石氏にはかなわなかったのですよね? 「それは違法な選挙活動があったからだ」と言うかもしれませんが、そもそも違法活動なのかどうか、記事を読んでも判別できません。
 公職選挙法違反といえば、今回選挙では快晴が間に合わず、ウェブページの更新も文書配布と見なされていたはずですが、更新を続けていた政党や候補者もたくさんありました(どことは言いませんが、たちあがれ日本 http://www.tachiagare.jp/ とか)。選挙期間中、街頭演説のスケジュールなどがわかるとたいへん便利だったので、あらためて公選法を現在の常識に合わせたまともなものにする改正が望まれますが、「主張」の言い分に従えば「違法性を厳しく問うべき」ですよね。法解釈上セーフとも考えられるからセーフだ、というなら、山教組の文書配布もセーフではないでしょうか。

*1:だって結局、新入部員は全員発声練習や柔軟運動から始めろとか言われるんだもん。今思えばそれで当たり前なんですが。

*2:枝野信者ではあり、両立はなかなか難しいところです(笑)。枝野幸男氏は西松事件当時、推定無罪原則を強調して小沢氏弁護の筆頭に立っていて、その姿勢と考え方が正しいと思うのでそれに倣っております。