黙然日記(廃墟)

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産経抄の衣食住観。他。

産経抄】7月22日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/418643/

 はい。この暑さは『方丈記』を引用して片づくような代物ではないことぐらい、ちょっと考えればわかりそうなものです。外気温が体温より高くなったら、いくら家の構造を工夫して風が吹き抜けるようにしても、どうしようもありません。むしろ締め切っていた方が過ごしやすいかもしれません(重い熱中症になるおそれが高いので、絶対に試さないでください。エアコンのない人は公共施設などへの避難をお勧めします。マジで)。
 服装について抄子はなにか勘違いしているようなので、トリビアルなところまで含めて追求しておきます。「日本の着物」のことを、呉服といいますね(厳密には絹製の和服が呉服)。この「呉」は広島県呉市ではなく、中国南東部の江蘇省南部を指します。『三国志演義』などでは孫権の国としておなじみですね。都市名でいうと南京市を含み、上海市の北側にあたる地域です。緯度でいえば沖縄とほぼ同じぐらい、というか海を挟んで隣どうしです。この呉から伝わってきた服ならば、暑さに対応しているのは当たり前です。もちろん日本でも細かい工夫がされたものでしょうが、前合わせのワンピースという全体のシルエットは日本独自の発明ではありませんし、それを採用したことが日本人の暑さ対策だとは言えますが。ついでに、辛亥革命の指導者で中華民国初代総統の孫文は、日本に留学していたとき、この呉服を「漢族の伝統衣装に似ている」として愛用していたそうです。当時は満洲族清王朝が中国を支配しており、満洲族の服装である旗袍をアレンジした服がチャイナ服と呼ばれるような時代でした。中国東北部で生まれた旗袍が防寒を主眼としているのは当然ですが、広い中国ではそれぞれの土地に合わせた衣服が工夫されていたのは、これも当然の話です。抄子が「大陸の衣装」として呉服と対比しているのは、この旗袍をイメージしているのでしょうね。19世紀の欧米人ならともかく、中国人=チャイナ服という認識は乱暴すぎるでしょう。
 冷製パスタが日本人の発明であることは知る人ぞ知るですが、イタリアなどでどのぐらい受け入れられるのでしょうね。個人的には、パスタそのもののうまみを感じにくくて、あまり好きではないのですが。冷たい麺料理は、日本に各種ある他は朝鮮半島の冷麺ぐらいしか思いつかなくて、それも寒い平壌が有名です。あとは亜熱帯〜熱帯の広東でもベトナムでもタイでもマレーシアでも、基本的には温かい汁そばまたは焼きそばが主流ですよね。すべての麺料理を調べたわけではありませんし、ベトナムのフォーは冷たいものがあったかもしれませんが、蒸し暑さとはあまり関係ないのではないでしょうか。
 ……それにしてもひどいコラムです。日本は涼しさへの工夫もすごい、日本なんでもすごい、エライ。それだけが言いたくてこじつけているとしか見えません。しまいにゃ、これこそまさにクール・ジャパン、アニメやゲームをもっと輸出しろとか調子のいいことを言い出していますが、その薄汚ねぇ口で近寄ってくるんじゃねえよ。

米の雇用なき回復 景気の二番底に陥る恐れも - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/418821/

 ワシントン支局・渡辺浩生記者による一般記事です。いや、産経でワシントン支局ですが、内容は至極まともです。民間企業が新規雇用を絞っているのは、欧州の財政破綻リスクを怖れているからだが、それでは本当の景気回復にならない、という危機感が米国の経済界に漂っているそうです。外国のことならこうして冷静に報道できるのに、なんで日本経済を語り始めるとおかしくなってくるんでしょうね。

新幹線輸出はオール日本態勢で - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/418628/

 22日付「正論」は、あいかわらず調子のいいことばかり言っている笹川陽平日本財団会長ですが、それにしてもタイミング悪いですねえ。ええ、新幹線はトータルで見て非常に信頼性の高いシステム技術ですけれども。

山陽新幹線、始発から不通 新大阪−姫路間、保守用車両が脱線 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/accident/418989/