黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、珍しく現実を見る。他。

記録的豪雨 変化に対応して身守ろう - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/416774/

 17日付「主張」。昔の梅雨はのんびりしていてよかった、今のゲリラ豪雨は戦後教育と民主党政治の責任……とはさすがに言っていません。産経にしては非常に珍しく、現実を現実として受け止め対策を練ろう、という主張です。ただ、詰め込みすぎのせいか、因果関係の説明をすっ飛ばした提案が多いのは気になります。また、「治水だからダムを造れ」というのはどうでしょう。少なくとも、山崩れの対策にダムは必要ないと思うのですが。これも昨日の「産経抄」における「児童虐待」と同じく、言葉が重なるだけでその子細を考えずに一括りにしてしまう悪癖が出たのではないでしょうか。ダムを全部やめろ、とは言いませんが、どさくさ紛れはやめてほしいものです。
 ついでに、ダムについての個人的意見を。批判されるべきは、公共事業費と役人のメンツだけを目的に建設され治水にも利水にも役立たない「無駄なダム」です。「役に立つダム」を作る、あるいは無駄になっているダムを役立てることはできないものでしょうか。化石燃料にも原子力にも頼らずにCO2を削減するには、太陽光や風力などともに、水力の利用が欠かせないはずですが、なぜその観点からの議論がないのか不思議です。すべてのダムに水力発電施設の設置を義務付けるぐらいでもいいと思うのですが、どうでしょうか。短期的なコストでは見合わないでしょうが、CO225%あるいは80%削減を本気でやるなら、長期的には必要なコストのはずです。さらにもうひとつ、山間部のダム適地に限らず、平野を流れる河川や排水溝、下水管にいたるまで、水力発電には利用できないものでしょうか。秒間何トンという水が流れている、それだけの質量が勝手に半永久的に運動しているのに、この運動エネルギーを利用できないものか、といつも思います。もちろん、季節によって増減が激しく、冬になると水車が水にかすりもしないから年間での効率が悪い、といった理由で今まで顧みられてこなかったのでしょうが、それは風力発電だって大差ありません。

国家戦略室 国づくり投げ出す格下げ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/416773/

 同じく17日付。ほほう、産経「主張」が、こんなに国家戦略室に期待していたとは知りませんでした。菅直人首相がなにを考えているのか、わたしにはよくわからないのですが、現実への対応を優先させるタイプの政治家だとしても、もうちょっと周囲の目や理想の実現というもの考えるべきではないかと思います。ただそれにしてもこの「主張」は、民主党政権自民党政権時代と同じ陥穽に嵌っていくことを、あきらかに内心で歓迎しながら、おためごかしの言い方にしか見えません。