黙然日記(廃墟)

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産経抄、昔を懐かしむ。他。

産経抄】7月16日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/416316/

 なにが言いたいんだか、ぜんぜんわかりません。美空ひばりのような子役タレントを強制労働させる「児童虐待」と、殺人にいたる「児童虐待」を、同列に置いていいものなのでしょうか。児童虐待には、身体的虐待・心理的虐待・ネグレクト・性的虐待の四つの類型があります。このうち、心理的虐待はあまり重視されず理解も進んでいませんが、言葉の暴力などによって子供の存在価値を否定することが含まれます。たとえば「お前は駄目な子だ、生きる価値がない」とか「お前を産むつもりはなかった、望まれない子だった」*1とか「そんなことではよい兵士になれない、お国のためにならない役立たずだ」とか。子供の価値観に親が(間違ったやり方で)干渉した結果が、虐待になるわけです。また、過干渉も心理的虐待とされることがあります。一方にネグレクト(育児放棄)があり、外見的にはまったく逆方向の言動が、いずれも「児童虐待」にあたるわけです。同じ「児童虐待」であっても、原因も違えば内容も違うわけで、すべてをひとくくりにして考える人はいません。
 そういえば、「児童の強制労働は児童虐待」という概念は、美空ひばりの例にもあるように60年以上前から確立していますが、今の類型だとどうなるんでしょうね。身体的虐待とされるのだろうと思いますが、独立した分類が必要なほど目立っていないということなんでしょうか。なんにしても、子供を強制的に働かせて搾取する虐待と(ただしその場合、子供は金蔓なのでそれなりに扱われることが多いでしょう)、子供の存在を否定するような心理が働く虐待では、同じ身体的虐待に分類されるとしても、やはりベクトルが逆方向なわけです。繰り返しますが、なぜ同列にできるのか、まったくわかりません。
 今気づきましたが、もしかしたら抄子は、「昔の児童虐待は牧歌的でよかった、今の虐待は残酷だ」と考えているんでしょうか。もしそうだとしたら、なんかもう、自分で狭い箱に閉じこもって現実社会および現代社会との関わりを絶ってはどうか、と提案したくなります。

落選法相の留任 民意を無視する首相要請 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/416318/

 16日付「主張」。どうもこの筆者は、「夫婦別姓」と「選択的夫婦別姓制度」を、区別して考えているようです。いやもちろん区別はあるのですが、千葉法相たちはまず「選択的〜制度」を導入して、それをステップに「夫婦別姓」を固定化させるという戦略を取っている、と思いこんでいる気配があります。
 「人権侵害救済機関には政府や特定団体による恣意(しい)的な言論・表現統制の危険性が指摘されている」というのは、どの口が言いますか。「二次元児童ポルノ」などという薄汚い言葉を吐いたその口が言ってるんですか。

*1:うる星やつら』で、原作に一度登場しアニメでは定番化されたギャグに、あたるがなにかトラブルを起こすとあたるの母が「産むんじゃなかった」と泣き崩れる、というものがありました。当時はギャグとして通用していましたが、あるときふと、「これってかなりひどい台詞だよなあ」と感じ、素直に笑えなくなった記憶があります。