黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の民営化推進路線についてとか。

郵政見直しと遅配 官業逆戻り路線の弊害だ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/412646/

 7日付け「主張」ですが、いや、ゆうパック遅配問題ペリカン便との統合がきっかけで、民営化路線がなければこんな統合もなかったわけで。別に親方日の丸意識がなくても、銀行のシステム統合でATMにトラブルが起きるとか、しょっちゅうある話ですよね。大銀行も親方日の丸だと言われるかもしれませんが、他の業種でも似たような例はあります。準備期間を取らない不手際は、「民営化だからコスト削減優先」という発想が生んだものではないのでしょうか。「民間企業なら当たり前の「顧客第一主義」が欠如していた」という指摘はむしろ、民営化路線にこそ当てはまりませんか。先日、飛行機マニアの人が嘆いているのを見かけました。「愛用する航空会社が最近、エコノミークラスのドリンクサービスを有料化した。これで削減できるコーヒー1杯数十円のコストと、そのために失われる顧客の信頼と、長期的に見てどちらが大きな損失なのか」。郵便・宅配便を含めた多くの業種に、当てはまる話ではないでしょうか。
 最近思うのですが、というより、昔からずっと引っかかっていたのに「構造改革」の呪縛に囚われていたころには言語化できなかったのですが、「(民営化による)競争促進」って、過剰になれば経済を拡大させるどころか縮小させてしまうのではありませんか? もちろん、郵便小包独占に対する宅急便(宅配便)の参入のように、一定範囲の競争はサービス向上や技術革新をもたらしますが、その競争が過剰になってコストカットが進めば、その会社の売り上げは変わらなくても、仕入れ先(下請け)の売り上げは減少します。人件費削減は直接的に失業者を生む場合が多く、給与カットでも結果的に消費者の財布を縮めることになります。各社はコストカットで一時的に利益を上げたとしても、社会全体としては不況要因を作り出してしまう、合成の誤謬が存在するのです。一見非効率的であっても、その非効率が企業を潰すほどのものでなければ雇用確保という作用が生じ、実はそれが経済を支える大きな要因になっていたのではないのでしょうか。かつての日本型経済は雇用確保や福利厚生を企業が負担する会社社会主義と言われましたが、そういえばなんでこの路線を捨ててしまったんでしたっけ? なんか本気で思い出せません。悪弊はあったにしても、長所まで捨てることはなかったはずなのですが。
 この件で産経「主張」が居丈高なのは、これで連立政権の大臣による任命責任を問えるという判断からなのかもしれませんが、もっと根本から考え直してみる必要もあるのではないでしょうか。

産経抄】7月7日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/412645/

 こちらも同じ話題ですが、昔の遅配事件を持ち出してきたところは、コラムとしてはまあまあでしょう。しかし、そのあとがいけません。鳩山邦夫総務相を叩いてみたり、もちろん民主党政権の責任にしてみたり、局長会や労組の選挙運動を批判してみたり、例によって方向性がバラバラです。いや、ある意味では一定の方向性か。統合をお中元商戦のさなかに決めたことについて、統合相手でずっと民間企業だった日通はなにも言わなかったんでしょうかね?(日通も大企業相手の仕事が長く、「お役所体質みたいなのもがある」とよく言われていますが)。なんにしろ、夏コミの宅配搬入開始までには態勢見直しも含めて解決してもらいたいものです。