黙然日記(廃墟)

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産経抄の自爆テロ。他。

産経抄】7月5日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/412168/Web魚拓
産経抄】7月5日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/sports/martialarts/100706/mrt1007060302001-n1.htmWeb魚拓

 7月6日付産経抄です。「産経で信用できるのは日付だけ」と言われたのも、今や昔の話ですね(しみじみ)。「〜日付だけ」というのはもともと、東スポに関するジョークです。ただし、東スポはもちろん意図的に虚報ぎりぎりの見出しを掲げているのに対して、産経は本文の細かいところに、よく調べないとわからないような虚報が混じるという違いがあります。これには、取材力不足による意図せぬミスと、わざとやっているミスリードと、両方の場合があります。そしてときどき、「言論統制はできる相談」とか「スカトロ批判は『個人的な嫌悪』」といった、見出しレベルの伝説的誤植をやらかすわけですが。
 電子版見出しにそんな感慨を抱いたところで本文を読んでみると、他紙(読売・毎日)の誤報をあげつらう内容だったので、開いた口から目の玉が飛び出しそうになりました。ちょっとこれマジか。本気でやってんのか。そうでなくても産経が他紙の誤報を云々できる立場ではないのに、それをやった上でご丁寧にこの見出しって。なんなのこれ。冗談にしても度が過ぎます。もしや、本気で東スポの地位を狙ってるんでしょうか? いやそうだとしても、身の程知らずとしか言いようがありません。まして本気で他紙に皮肉を飛ばせるご身分だと思っているんだったら。他紙批判に限らず相撲協会の体質批判にしても、できる立場ではないでしょう。産経新聞はとりあえず、15日間(名古屋場所の期間)ほど新聞発行を休んで、自社の体質を根本から問い直す作業をし、解体的出直しを図るべきです。もっとも、それぐらいじゃどうにもなるわけがないので、そのまま永久に休刊してくれるのがベストですが。
 以後の文章もツッコミどころ満載というか、ちょっとひねれば全部そのまま産経に戻ってくるような内容ばかりなので、これはd:id:osahuneさんの「ウサンクサイケイ抄」の新作に期待しておきましょう。

中国の軍事力 目をそらさず戦略を語れ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/412170/

 6日付「主張」。このブログでは続けて「主張」の中国ネタを取り上げているので、そればかり続いてるように見えますが、考えてみればふだんからこんなペースだったかもしれません。どうも産経は(産経に限りませんが)選挙の争点というものを勘違いしているようです。それはマスコミが作るものではなく、政党と有権者が決めるものです。二大政党制で二大政党が一致している政策は争点になり得ませんし、多数政党制でもどの政党も公約として掲げていない政策も争点になりません。また、国民の多数が対立があると考えていない、または関心を抱いていない問題も、争点にはなりません。後者の例としてはたとえば、ゴジラや宇宙人が攻め込んできたときの有事対策があります*1。前者の例は消費税引き上げ問題で、多数政党のうち二大政党が引き上げの方向(少なくとも可能性を排除しない)で一致しており、国民の多数も大きな争点とは考えていないことが世論調査から明らかなので、実は争点になっていません。「この選挙では消費税が最大の争点」と言い張っているのは、産経を含むマスコミだけです。もっとも、さすがに気づいたのか、選挙戦後半に入って各社ともトーンダウンしているようですが。
 そういうわけでこんどは、ゴジラよりは注目されるものの消費税よりさらに争点になっていない中国の軍事について、産経は「争点だ」ということにしたいようです。中国の軍事的脅威がどのようなものかというと、なんとこの選挙戦のさなかに中国の軍艦が海上を通って東シナ海から太平洋へ抜けたという、それはそれは恐るべき脅威なのだそうです。産経の論説陣は、なんかこう、大手を振って公道を歩けないような後ろめたいところがあって、それで他人が公道や公海を通るのも非難したくなるんでしょうかね? 
 そして最後まで読んでみると、実にばかげたことに、中国の軍事についてマニフェストで触れているのは与党の民主党国民新党だけであって、自民党は触れていないんだそうです。あんた結局、なにがやりたかったのよ? たちあがれ日本あたりの応援なんでしょうけどねえ。

*1:こういうSF的シチュエイションも、「検討してはどうか」と国会で提案されたことがありますから、いちおう政治的イシューでしょう。最初はここの例として「死刑廃止への議論」を思いついたのですが、社民党のマニフェストには含まれています(なぜか共産党は公約にしていません)。しかし争点にはなっていません。