産経がやっぱりトンチンカン。
【産経抄】6月26日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/408363/
W杯16強入り みんなで快挙を喜びたい - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/408348/
d:id:pr3:20100625:1277477904で予想したとおり、大騒ぎしています。トンチンカンな方向で。
「産経抄」の方、日本がカメルーンに勝ったのは版くわ早稲田という評価は、正当なものです。事前に示されているFIFAランキングで19位と45位、大相撲で言えば前頭六枚目に十両力士が勝ったようなものですから、番狂わせとしか言いようがありません。そして日露戦争を持ち出してくるわけですが、短期決戦で勝利を得た日露だけ持ち上げても、やはり短期決戦しか勝ち目がないとわかっていたのに長期戦を続けてしまった太平洋戦争の大失敗は覆い隠せませんよ? W杯グループリーグの場合、90分3試合のルールをお互いに踏まえた上で戦略を練りますから、短期決戦に持ち込むもなにも有り得ません。*1
「主張」は3試合を総括していますが、対カメルーン戦で守備を固めたことへの「評価も、必ずしも芳しくはなかった」というのは、なんのことを言っているやら。周囲の評価がどうだって、勝つために最善の方策を尽くすのが監督の仕事です。相手が混乱していることは試合開始後にわかったことで、そこから戦術を大きく変えてむやみに攻撃的に出れば、今度はこちらが混乱します。チームが機能していなくても、カメルーン選手の個人技が炸裂すればかなわないことはわかっていますし、そもそも今回の日本代表は守備のチームですから(攻撃重視で23人を選ぶのはいろんな意味でナンセンスですし)、カメルーン戦の守備的な戦術は勝つために正しい戦略だったとしか言えません。対オランダ戦はまあ、「負けたけどよくやった」の一言しかないでしょう。対デンマーク戦については、繰り返しますがほんとうにラッキーでした。早い時間に先制ゴールを決めたことが、なんといってもラッキーそのものです(もちろん、本田圭佑選手と遠藤保仁選手のFK技術は素晴らしいものでしたが)。守備が崩されているわけですから、失点する可能性を考えてあるていど得点を狙う、本来は引き分けのための戦略でしょう。もともと、攻撃できるときには(特にセットプレーでは)攻撃するのが守備的チームの常識ですから、この点でも戦略は一貫しています。「ひたすら前へ向かう姿勢が、堂々たる勝利につながったということができる」とか言ってますが、できませんから。
そのあとの、今後への期待については、そんなにトンチンカンでもないと思います。個人的な予想を述べておくと――まあ、がんばるしかありません。イタリアやフランス、あるいはドイツやイングランド、そしてパラグアイといった強豪国は、グループリーグでは力を温存して決勝トーナメントに全力を尽くす戦略を取ることが多いのですが*2、日本代表のようなチームは、グループリーグ突破に全力を尽くすしかありません。パラグアイ代表のようすがどんなだったかチェックはしていないんですが、あとは向こうが集団食中毒でも起こして全員腹具合が悪くなることを祈るぐらいしかないかもしれません。それでも勝ち上がりますけどね。