黙然日記(廃墟)

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産経、梅雨時を迎える。

http://d.hatena.ne.jp/pr3/20100603/1275577390#c
とらとら 2010/06/04 19:12
菅氏がかつて北朝鮮工作員シン・ガンスの釈放嘆願書に署名した件は、ほぼ確実に
持ち出してくると思いますね。カビが生えたネタですが(笑)

 まずは、当ブログにお寄せいただいたとらとらさんのコメントです。では今日の「産経抄」を。

産経抄】6月5日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/399706/
かつて、日本人を拉致した北朝鮮辛光洙容疑者ら韓国の政治犯の釈放を求める嘆願書に署名したという「キズ」もある。

 はい、お見事でした。梅雨時ですから、カビには気をつけてくださいね。
 内容としては、首相就任と同時にイメージ戦略に成功した池田勇人元首相と菅直人新首相を対比するものですが、池田に対する評価が「ソフトイメージで支持を得たが国家の基本問題をないがしろにした」というものでは、ぜんぜん説得力がありません。池田勇人って、新憲法下でもっとも成功した首相じゃないですか? 戦後の日本国が最大の矜恃としたのが「世界第2位の経済大国」であり(それももう終わりましたが)、これを実現に導いたのが池田首相の所得倍増政策です。これを否定するのは、最大のプライドを否定する、反国家的発言ではないでしょうか。産経曰くの「国家の基本問題」というのは防衛政策、特に自主武装に関することでしょうが、日米安保条約改定で国民の反軍感情が最大限に高まっていた時期にさらに強権的な軍備強化路線を打ち出したら、革命が起きてましたよ? まあそれはその方が良かったのかもしれませんが、わたし自身は平和な経済大国に生まれ育ったことに感謝しています。
 ついでに、「鳩山政権で明らかになった民主党政治の問題点」なるものは、これも産経的には内閣と党の二重権力構造なのでしょうが、いまのところ新聞辞令では、反小沢派の筆頭だった枝野幸男氏を幹事長に起用する方向と伝えられています。枝野氏が政界に入って最初に手がけた仕事は、薬害エイズ問題でした。そのとき問題解決を主導した菅氏を高く評価していると何度も述べ、個人の政策論でも多くの点で一致している枝野氏が党のトップになるなら、二重権力構造は生じようがありません(実現するかはともかく)枝野氏の幹事長起用を提案すること自体が、新首相のそうした意思表明だと考えられます*1

菅新首相 国の針路正し危機打開を ばらまき政権公約を撤回せよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/399685/
不安材料は、北朝鮮による拉致問題への対応だ。〔以下略〕

 こちはら「主張」。新首相にいろいろ注文をつけるのはまあいいし、こっちでまでまさかカビの生えたネタは使わないだろうと思って最後まで読んだら、最後のまとめに使っていたので脱力しました。
 党と政府の関係については上で述べてしまったので略します。その他に「主張」が力を入れているのは、公約を撤回して消費税増税しろとか、基地移設をなんたらとか。このへんも言い出すことは予想できていたのであらためて脱力はしませんが、ほんとに産経のオピニオン欄は、公約というものをなんだと考えているのでしょうか。これは鳩山前首相個人が約束したものではなく、民主党として(または三党連立として、一党抜けてしまいましたが)国民と約束したものですから、なんの手続きもなく撤回することはできません。「こういう政策を行いますから、政権に就けるよう清き一票を与えてください」というのが、公約の意味です。ビジネスの世界で言えば、「代価を受け取って商品やサービスを提供する」という契約書のようなものです。契約書を一方的に破棄するのと同じようなものです。産業経済新聞社は、そういうことをする企業なのでしょうか。……嫌味で言ったみたのですが、やらかしそうな気もしてきました。

*1:枝野氏支持者としては、あきらかに不向きな党務のトップに就くことに不安がなくはないのですが。先のことを考えれば、もちろん経験しておくべき役職ですが……。ただ、議員立法を取り仕切る立場でもあるので、少なくとも民主党から児ポ法などのおかしな改正案が出てくることは防げるという期待はできます。