黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経抄、朝から水代わりにビール。他。

 辞めりゃいいってもんじゃないと思います。たとえそれが目的ではないとしても、「看板の掛け替え」という批判を甘受すべきところでしょう。首相のふらついた姿勢が最大の問題、という産経オピニオン欄にしばしば現れる主張に、残念ながら同意するしかありませんが、最初は彼も「こうすることが国民の幸福」という信念を持って政権に向かったはずです。それを貫けば、少なくともこんな結末にはなっていなかったでしょう。残念なことです。
 昨日は社民党連立離脱に関して、産経は我が世の春と書きましたが、こうなると夏真っ盛りぐらいに思っているでしょうね。
 「秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる」(藤原敏行
 秋風を探してみましょう。

産経抄】6月2日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/398339/
 コップにビールが半分入っているとする。「もう半分しか残っていない」とがっかりするか、「まだ半分も残っている」と喜ぶかは、個人の勝手だが、後者の方がずぶとく楽しい人生を送れるのではないか。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070116i215.htm 〔現在リンク切れ:コピー
 〔首相は〕政権発足以来、内閣支持率が低下を続けていることについては、「私は、コップの水が減ったとは考えず、まだこんなにあると考える」と述べた。

 今朝、この「産経抄」が発表されてから数時間後に、話の前提がまったく変わってしまったわけで、やりにくいのですが、辞意表明前のつもりで書いていきます。
 よくある比喩ではありますが、どうしても下に引用した首相発言を思い出してしまいます。実は下の発言は3年前、支持率下落に悩んでいた安倍晋三首相(当時)のものです。3年前も参議院選挙を控えていたことなど、どうしても比較したくなるところです。産経抄が読者に、安倍氏と鳩山氏の対比を考えさせようとして、わざわざこの比喩を使ったのかどうかはわかりませんが、現在の安倍氏が在任中と裏腹にずぶとく楽しげに余生を送っているのは見ていてもわかります。彼のように、支持率なんか気にせず参院選敗北後も居座れと伝えたかったのでしょうか。
 とまあ、前半はおちょくっておけば済むような内容ですが、後半はおよそ許し難い代物です。月刊誌「正論」に掲載された西部邁氏の、「文明の敵・民主主義を撃て」なる文章を礼賛し、これに習うべきだというのです。産業経済新聞社刊行の雑誌にこんな文章が載ること自体、産経が民主主義の味方面をする資格を持っていないことがわかりますが、あまつさえ一面コラムで宣伝するとは。
 衆愚政治を批判するなら、「衆愚政治」という確立した概念を使えばいいのであって、それが「民主主義」という別の概念と同じものであるかのように言い募る必要はありません。こうした行動には衆目を集める効果がありますが、論理性を抜きにして衆目を集めようとする政治的行為こそ、批判されるべき衆愚政治ではないのですか。*1

世論調査】支持率続落19%、初の2割割れ 政党支持率も自民と並ぶ (1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100531/stt1005311141005-n1.htm

 「産経抄」でも言及されたFNN・産経合同世論調査の結果が31日に出ており、いわゆる危険水域の内閣支持率20%割れという結果になっていました。別にこの調査だけの結果で辞任を決めたわけでもないでしょうが(各社調査とも似たような数字になっています)。
 この記事は総論部分なのですが、いかに鳩山内閣に不利な数字が出ているかをいろいろ並べています。しかし実際の調査結果を見ると、普天間基地移設問題で名護市移転案を選択したことに賛成が約20%、反対が約70%となっています。数字としては偶然の一致である可能性が高いのでしょうが、名護市移転案への批判が内閣不支持にそのまま繋がっていると考えることすらできます。数字のこじつけを抜きにしても、地元に限らず全国で調査しても、現行案反対が民意であって、産経の思惑とはまったく逆の結果が出ているのです。

首相進退問題 トップ2人の共同責任だ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/398340/

 今朝(2日朝)時点でこういう「主張」(社説)を出しているので、おっ、産経もなかなか慧眼ではないか、と思ったのですが、確認してみたら朝毎読各紙とも扱っていました(例によって日経はマイペース)。読者・視聴者としてはけっこう驚いたのですが、永田町の記者クラブでは、すでにそういう雰囲気ができあがっていたんでしょうね。もっとも産経は、「不可解なのは、小沢氏が首相の首をすげ替えて参院選を乗り切ろうとされていることだ」と四紙の中で唯一、小沢幹事長が居座って看板だけすげ替えると決めつけています。実際には皆さんご承知のとおり、党執行部総辞職の形になっており、それを読み切れなかった点で、慧眼もへったくれもありません。いや予測ですから外れるのはしかたありませんが、他紙はどこもこんなことを書いていませんし、そもそも小沢氏が居座ると本気で思っていたんですかね? 首相が残って幹事長辞任の方がよほどあり得たシナリオなのに、小沢憎し小沢怖しで目がくらんでいたんでしょうかね。

*1:あるいはまた、これは言説であって政治的行為ではないというなら、それはただの「商業右翼」です。