黙然日記(廃墟)

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産経、泥沼化する。

 産経新聞休刊の日、いやもとへ、産経も含む新聞休刊日なので、一昨日の記事ですが注目記事について。

漫画家を参考人招致へ 泥沼化する「2次元児童ポルノ規制」で都議会  (1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100504/lcl1005042234002-n1.htm

 いちおう中立らしい書き方をしており、現在出されている案に関しては多くの問題点があることを指摘する、現行案には反対の姿勢なのかもしれません。しかし、「二次元児童ポルノ」なる単語を使い続けている時点で、根本的には賛成であることが知れます。都議会民主党に修正案の提出を求めているあたりも、二次元規制そのものが問題だとは考えていないことの証明でしょう。
 たとえば「二次元殺人」という単語をここで作ってみます。なんか変格推理小説のタイトルにありそうな感じですが、つまり空想のなかの殺人のことで、たいていのミステリが該当します。犯罪者は空想上の存在であり、もちろん被害者も“非実在”です。これを、刑法上の殺人罪で裁こうと考える人はいるでしょうか。殺人罪はもちろん法的に厳密な定義がなされている、現実世界での殺人のみを対象とした罪です。「児童ポルノ」という言葉にも同じように法律上の定義がされており、現実の被害者が存在するもののみを対象としています。ミステリを「二次元殺人」とか*1、あるいは東アジア共同体創設と国家主権を譲渡を論じた文章を「二次元売国」とかと呼ぶことで、あたかもそれ自体が悪であるかのように印象づけることが可能です。というか、それ以外にこのような言葉を使う目的があるのでしょうか。ここで言うところの二次元、つまり絵による表現は、法律や条令を語るときにでてくる「児童ポルノ」ではないことを、強調しておきます。

*1:こうした「ミステリ」と「エロ」、あるいは記事にもある「マンガ」と「小説」、あるいは「萌え」と「BL」など、「あっちは許されているのになぜこっちは規制される」という反論をするとさらに広い表現規制を招きかねないので(現実に、BLに関しても規制が進行しつつあります!)、あまり好ましいことではないのですが。