産経抄、八歩あるいて忘れる。他。
【産経抄】3月30日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/374314/
雪印食品の牛肉偽装・詐欺事件の要因は、狂牛病問題だった。といっても、同じ問題に直面していたほかの会社は事件を起こしていない。
嘘つくんじゃねえよ。これは、引用元であり失敗学の提唱者である畑村洋太郎工学院大学教授が間違ったことを書いているのかもしれませんが*1、少し確認すれば(というか8年前のことを少しでも記憶していれば)、ありえない記述です。
Wikipedia:牛肉偽装事件
牛肉偽装事件(ぎゅうにくぎそうじけん)とは、2001年からBSE対策事業の一環として行われた国産牛肉買い取り事業を悪用し、複数の食肉卸業者が輸入牛肉を国産牛肉と偽り補助金を詐取した事件。〔強調は引用者〕
あんまり個人的な話はしたくないのですが、遠縁の者が雪印食品に勤めていて(間接部門なので偽装事件には関わっていませんでした)、会社解散で失業し苦労する姿を見ています。また、わたしの身内以外にも同じように理不尽な思いをした従業員が多数いただろうと思います。もちろん、明確な刑事犯罪を起こした企業が社会的制裁を受けるのは当然ですが、この事件については個人的感情を除いても、それ以前に多数の健康被害を出す史上最大規模の食中毒事件*2を起こしていた親会社の雪印乳業が、ブランドイメージのさらなる低下でグループがダメージを受けることを避けるために、牛肉を引き取った国以外の被害者がいない事件で子会社の食品を解散というかたちで切り捨てようとした、としか思えません。あれ以来個人的に、雪印およびメグミルク製品はできるだけ買わないようにしています。
産経抄の話に戻りますが、「『責任追及』と『原因究明』を分けろ」という失敗学とやらの要諦は、一部の政治家にはできていることのようなので、それを批判する産経側こそ自覚するべきところでしょう。
「外国人制限」がタブーになった - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/374316/
30日付「主張」は西尾幹二氏が、タブーについて論じています。大相撲で外国人制限の声が上がらないのは、人種差別主義者と言われることを恐れているためだそうです。そんな奴ぁいねぇよ。制限の是非はともかく、サッカーでも野球でも1チームあたり何人までと外国人の人数を制限していますが、人種差別・民族差別だなんて非難があると聞いたことはありません*3。相撲の例で言うなら、産経紙面でモンゴル人を野生動物扱いした河添恵子氏あたりの方が、よほど差別主義者でしょう*4。後半で、ドイツの移民が多い地区にある小学校を扱ったドキュメンタリー番組の描写について延々と述べているのですが、そこにあるのは「少数派の民族が差別されている」という現状でしかなく、国や宗教を持ち出して排外主義を唱える西尾氏にとって、都合のいい内容だとは思えません。