黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経、中国当局を信頼する。

日中関係にらみ…今が「適切なタイミング」? 毒ギョーザ逮捕 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/373688/

スケープゴート?毒ギョーザ逮捕で当局に不信感 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100327-OYT1T00805.htm

中国毒ギョーザ:公安当局の説明になお疑問も - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/world/news/20100329k0000m040048000c.html

Twitter / 福島香織: 日本人としては、中国さまがせっかく日本の国民感情を配 ...
http://twitter.com/kaokaokaokao/statuses/11121196546
〔略〕やはり、本当にこの人が犯人?という疑問はきえないわけで。

 ちょっと気になったのでメモ。一番上の、伊藤正・産経新聞中国総局長の記事は、この逮捕発表が政治的判断という可能性に触れながら、そのためのでっち上げ逮捕である可能性にはまったく言及していません。読売記事は「ネットの意見では」というかたちで、毎日記事はもう少し踏み込んで、この逮捕に疑念を呈しています。なお、朝日新聞サイトも産経と同じく、現時点では冤罪を疑うような記事は見あたりませんでした。朝日が報じない理由はなんなのか、日中親善のためかそんな想像力もないのかはわかりませんが、産経の場合はそれらに加えて、「冤罪」「国策逮捕」というものの存在を認めたくないという感情があるのかもしれません。
 一番下は報道記事ではありませんが、元産経中国総局記者、伊藤氏の部下だった福島香織氏のtwitterです。つくづく、産経は惜しい人材を手放したものだと感じます。

中国毒ギョーザ事件 全容を解明し不安なくせ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/373738/

 そんなわけで、有能な人材から順に去っていったあとの産経新聞「主張」28日付です。この事件についてはいままで、折に触れて、また関係ない折にも、いちいち激しく糾弾してきただけに、鬼の首でも取ったような態度です。複数犯行の可能性や(組織的テロであったほうが産経には都合がいいわけですが)、証拠品押収の経緯などに疑問があることは指摘しながら、それが逮捕への疑念にはまったく結びついていません。

asahi.com朝日新聞社):社説 2010年3月28日(日)ギョーザ事件―影落とす成長のゆがみ
http://www.asahi.com/paper/editorial20100328.html?ref=any#Edit2

 ついでなので、朝日の社説も見てみました。容疑者が臨時工員の身分であることをとらえて、労働環境改善の切り口を中心に論じています。臨時工員の身分に同情しているようでありながら、やはり、容疑者個人への視点が欠けているような気がします。

産経抄】3月28日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/373757/

 ここだけ、餃子と関係ない話です。福田恆存氏といえば、もちろん日本を代表する劇作家の一人ですが、存命中は産経「正論」メンバーでもありました*1。彼が金嬉老事件を題材にして“進歩的文化人”を揶揄した作品『解ってたまるか!』が、1年ほど前に再演されていたというのは、興味深い話です。劇場型犯罪者を英雄仕立てにするマスメディアの問題は、いまでも通用するシリアスなテーマだと言うことですから。もちろん、産経抄にそんな視点はありません。

*1:たとえば http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/other/293010/ 。しかしこのコラムを再録するのは、温故知新というより懐古趣味的ですねえ。