黙然日記(廃墟)

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産経抄、思い上がる。他。

産経抄】3月25日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/372468/

 昨日取り上げた日韓歴史共同研究報告書ですが、実はわたしはまったく読んでいませんでした。2200ページとか無理。しかしその中に、韓国側が産経新聞を名指しで批判した論文があると聞くと、興味を抱かざるを得ません。まあ、新しい歴史教科書をつくる会つくる会)の存在がそもそも共同研究のきっかけになったようなものですから、(分裂前の)つくる会とほとんど一体化していた産経新聞が批判的に言及されるのは当たり前でしょう。
 ちょっと苦労したのですが、なんとか抄子*1の引用している部分を探し当てました。

財団法人 日韓文化交流基金
■ 日韓歴史共同研究委員会 第2期(2007-2010年)
報告書 教科書小グループ篇
http://www.jkcf.or.jp/history/second/report4.html
韓日歴史教科書問題の史的展開(1945年〜現在)
 ―1982年と2001年の展開様相を中心に― 辛珠柏
批評文(永島広紀)、執筆者コメント
http://www.jkcf.or.jp/history/second/4-09j.pdf (日本語PDFファイル・約0.5MB)

III.2001年日本歴史教科書問題
1: 1990年代の韓国と日本
操縦者であり背景としての右翼と一部保守政治家、宣伝隊としての産経新聞など保守メディア、宣伝扇動の行為者であり歴史教科書と歴史教育批判の理論隊であるつくる会という三角構図 〔p.11、強調は引用者*2

 この評価に、抄子は「“過大評価”だろう」と謙遜していらっしゃいますが、なんのなんの。過大評価と感じること自体が思い上がりです。産経新聞が保守化を推進したと認めたのではなく、悪巧みに一枚咬んで提灯持ちをした、と批判されているだけです。抄子は保守化が進展していない証拠として、大阪府の公立高校と支援学校(またか)で日の丸を常時掲揚しているのは2、3校、と持ち出していますが、そういうことを問題視すること自体、(少なくとも一昔前の感覚から見れば)異常なほどの保守化・右傾化であるという認識が、そもそもあるのでしょうか。

来年度予算成立 ごまかし財政では国滅ぶ ばらまき公約を正直に見直せ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/372469/

 24日付「主張」。いきなり最初から「鳩山由紀夫政権による初の予算」とか頭の悪すぎる表現が出てきて、苦笑してしまいます。2009年度第2次補正予算はなんだったんでしょうか。
 日本国の財政状況が危機的であることは事実です。もちろん、麻生政権が続いていてもこの危機は変わらなかったでしょう。どちらかといえば不況という局面なら、政府は収入より先に支出を増やさないと経済対策にならない、というのは、これも経済学の基本だろうと思います。ただ、同じ額を支出するにも子ども手当が効果が薄い、というのは、「主張」の指摘する通りかもしれません。短期的には。長期的には、ダムやハコモノよりはるかに効果があります。「主張」が言うバラマキ公約は、子ども手当も層ですし、たとえば農家個別所得保障にしても、自給率向上という目的が一応あって、付随的な景気浮揚効果を狙う一石二鳥政策で、「それは経済効果が薄くて虻蜂取らずになる」と批判するのが適切であって、単にバラマキと決めつけるだけでは意味がありません。
まあいずれにしろ、税収を増やすことも考えなくてはなりません。消費税凍結の公約を守っても、税収増の道はあります。所得税特に累進課税法人税にいつ手をつけられるかが、鳩山政権における経済政策のキーになるだろうと思います。所得税増税というと警戒してしまいますが、これが累進課税の強化であれば、たとえば現状で年収500万円の人が手取り400万円、年収1000万円の人は手取り900万円になるような税体系だった場合、年収500万円の人はそのままで、年収1000万円の人を手取り800万円にするとか、そういうことになります。「手取り800万円では暮らしていけない!」と抗議する人もたぶんいるでしょうが、「そうですか」というぐらいのリアクションしかできません。お金持ちは困るでしょうが、1部ワンコイン1ヶ月3000円以下を売り物にする低価格新聞が、心配するようなことではないでしょう。

【40×40】宮嶋茂樹 「友愛」やったら国が滅ぶで - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100325/stt1003250736002-n1.htm

 べつに相手をするつもりもその価値もないんですが、同じ表現を使っているのが面白いと思って引用してみました。「主張」も不祥・宮嶋なみか。

参政権付与は「対馬への裏切り」対馬市議会の意見書確定 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100324/lcl1003241851008-n1.htm

 【対馬が危ない!】キャンペーン中なら産経も大きく取り上げた話題でしょうに、非情なものです。

*1:今日の産経抄では、ひさしぶりに一人称「小欄」が現れています。「産経抄」に現れる一人称としては他に「抄子」があり、それぞれ「このコラム(の担当者)」「産経抄(を担当するところ)の人物」ぐらいの意味ですが、実は石井英夫翁が担当を外れてからは、ほとんど「小欄」で通していると記憶しています。しかし、「小欄」では「産経抄」以外(たとえばこのブログ)にも当てはまってしまって面倒ですし、そもそも三人称としては使えません(この「黙然日記」以外の場所で、「黙然日記」を指して「当ブログ」とは書けないのと同じです)。「抄子」なら他の新聞コラムの担当者などともかぶらない表現なので、ファンクラブなどでは匿名の筆者を指す三人称代名詞として「抄子」が使われ、当ブログも採用しています。この機会に、念のため。

*2:このPDFファイルはなんのつもりか、印刷もコピーもできる(ただし、手元のテキストエディタワープロでは、コピー&ペーストしてもすべて文字化けしました)のに検索だけできないようにパスワードがかけられており、著者名を手がかりにいちいち読んで探し、手打ちで書写したものです。ミスがあったらお許しを。