産経「主張」、顕す。他。
漫画児童ポルノ 子供に見せないのは当然 - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/371638/
【主張】漫画児童ポルノ 子供に見せないのは当然 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/100323/sty1003230331000-n1.htm
さーて。23日付の産経新聞「主張」（社説）です。産経新聞社はこう考えている、という意思表明です。ようやく産経が本音を出しました、というか本性を顕しました。同時に、産経新聞はものごとを考える能力がゼロである、または、主張のためなら現実をいくらでも捻じ曲げて恥じない新聞社である、という事実も明らかになりました。おおよそ100箇所から1万箇所のツッコミが可能な文章なのですが、重要な点だけに絞っておきます。
まず、言葉の定義です。この文章で言っている「児童ポルノ」って、なんですか？ 実在の児童を性的に描写した印刷物や映像？ 児童と思われる存在を性的に描写した印刷物や映像全般？ 児童が鑑賞することを想定した印刷物や映像？ 文章全体でまったく一貫しておらず、部分々々で使われている定義が違うとしか思えません。単に「児童ポルノ」という単語で（子供を持つ）読者の反感を煽れるよう、できるだけミスリードできるように慎重に計算して書かれた文章でしょう。法律にも使われている「児童ポルノ」という用語が、実は「未成年を性的に描写したもの」であるにも関わらず、用語自体でミスリードをしていることに、さらに便乗したものです。
ところで現実世界において、高校生のセックスは反社会的でしょうか。推奨するような話ではありませんが（避妊だけはちゃんとしてね）、ごくふつうの出来事だろうと思います（考えてみたらオジサンは、いまどきの高校生の実態を把握しているわけでもないのですが）。例示されているレイプは反社会的行為ですが、恋愛としての近親相姦は、少なくとも法律で禁じられている行為ではありません（家庭内性虐待は別です）。また、反社会的行為を推奨したりサジェストしたりする表現に問題があるとしても、反社会的行為を描くことそのものは、これはまさに表現の自由として守られなければならないものです*1。
今回の条例案をゾーニングにすぎないと強調していますが（一方でゾーニングの不徹底を述べているあたり、煽りたい方向性が明らかです）、東京都での有害図書指定が、事実上全国での発売禁止という意味を持っていることは周知です。また、マンガの有害図書指定は以前からあったと言われても、それ自体がずっと問題視されているのです。
ともあれ、いったん「主張」として掲げたからには、産経新聞のスタンスが明確になったのだということは、繰り返し強く指摘しておきます。その根拠がミスリードであり、詭弁であり、論理的な賛成論を述べられない事実から、その意図を突き詰めれば、個人的嫌悪感または宗教的信念であると断言してもよいでしょう。
個人的な好き嫌いで法律や条令を作っていいのなら、わたしが自治体首長や議員になったあかつきには「ピザにマヨネーズをかけることを禁止する条例」成立を目指します*2。「健康増進のため」とかなんとか、適当に理屈をつけて。域内のピザチェーン店はマヨピザをメニューから外さざるを得ず、場合によっては撤退を余儀なくされるでしょうが、健康増進のためですから仕方ないですよね。
４党提案 ＪＲを「国鉄」に戻す気か - イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/371637/
同じく23日「主張」。職員採用に政府が口を出すのは「資本主義の基本ルールに反している」のだそうですが、労働者の権利を確保することは、現代における資本主義の基本ルールです。国鉄解体の際にその基本ルールを守らなかった政府の責任を、今あらためて取りましょうという話です。
